少年王アキラ? 2


(2)
 後に執事は著書『我が少年王』の中でこう語っている。――少年王のそれは、
まるで内側から発光しているかのように光り、私は幻を見ているのだと朦朧とし
た意識の中で自覚した。それほどまでに美しいものを私は見たことがなかった、と。
「オウッ」
 ゾウアザラシのような叫び声を上げ、座間はもんどりうって倒れた。
「当たり前じゃないか! ボクはレッドと共にさいもえトーナメントで同票1位
になり、それから少しずつ大人の階段を上ればいいかなって…。あと1月後くら
いに結ばれれば…って思ってるんだから」
 少年王は『ああっ、言っちゃった』と両手で顔を覆い、ベッドの上で転げまわっ
て悶えている。彼が幼少の頃から仕えてきた執事がそこに倒れていることにも気
づく様子はなかった。
「どうしようか。やっぱり1位のお祝いはき…キッスに決まってると思うんだ。
ボク、上手くできるかなあ」
 少年王は側にあった枕を抱き寄せ、その中央部分にあるウサギの刺繍を目標に
唇を寄せた。このウサギちゃんはヒカルという名のウサギちゃん……。そんな気
持ちでカリっと甘く噛んで確かめると、ウサギより2センチほど外側に噛み跡が
ある。アキラはがっくりと肩を落とした。
「ああ…やっぱり上手くいかないや。どうしようか座間」
「………」
「座間、ボクが相談しているのに何故返事をしない!?」



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