バレンタイン 2


(2)
今日は大学が終わって4時に入り、10時に上がるシフトになっている。
その間に売れたチョコレートは2つだけだ。当日になって売れるわけがない。
明日からは残りはワゴンに入れて三割引になるはずだが、バイトの俺にはあまり
関係のない話だった。
保温機の温度を少し上げながら、一緒のシフトの同僚が古くなった惣菜をカゴに
入れていくのや、雑誌を立ち読む客の頭をぼんやりと眺める。
眺めながらも脳裏に浮かぶのは、俺の永遠のスウィートエンジェル・アキラたんのことだった。

「――すみません」
俺のスウィートエンジェルの顔が、そんな無粋な声にかき消される。
はいはい、と思いつつカウンターの上に置かれたものを見ると、本日3つめのチョコレートだった。
真っ赤な包装紙に包まれ、黄色のリボンが巻かれている。
POSに通し、「525円になります」と機械的に口にしながらレジ下にある白いビニール袋を手で探した。
「尚志さん」



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