通過儀礼 自覚 2
(2)
アキラはふてくされつつも、驚いた拍子に床に飛び散ってしまった碁石を四つん這いにな
って拾い始めた。それを見て加賀も拾うのを手伝う。
「う〜ん、取れない…」
アキラのその声に気づいた加賀は振り向いた。そしてその姿を見て思わず赤面した。
アキラは棚の下に転がった碁石を取ろうと必死になって手を伸ばしていた。だが腕が短く
て届かないらしく、尻を高く掲げながら棚の下に手を伸ばしていた。尻の間にうっすらと
小さな膨らみがあるのが見える。アキラは手を伸ばすたびに尻を高く掲げるので、その度
に股間の膨らみもズボンの上からはっきりと形をあらわした。
加賀は息をのんでそれを見つめる。
「ふ〜、やっぱり取れない。加賀君取って」
アキラは振り向き加賀に頼む。だがその無垢な目はさらに加賀を戸惑わせた。加賀はアキ
ラの体を見ているうちに性的欲求を感じていたのだった。
「あ…、ああ」
加賀はゆっくりとアキラに近づき向かい合うように座ると、アキラの指差す方へ手を伸ば
した。
「取れた?」
アキラの声に加賀は振り向く。アキラは正座を崩したように座って棚の下を心配そうに見
つめていた。しかし加賀の視線はちょうどアキラの股間にいくような体勢になっていた。
股間を間近に見た加賀は興奮して胸の高鳴りが止まらず鼻息が荒くなった。冗談じゃない
と思った加賀は、碁石を掴むと急いで起き上がった。
「ありがとう」
アキラは先ほどのことなど忘れて無邪気に手を差し出す。だが加賀は碁石を背中に隠した。
「右手と左手、どっちに入っているか当てたらやるよ」
加賀は口元をニヤリとさせた。アキラに対する欲情を信じたくなかった加賀は、からかわ
ずにはいられなかったのだ。
アキラは小首をかしげて少し考え込むと右手と言った。
「残念。左手でした〜」
加賀は嘲るようにして言うと背中から碁石を掴んだ左手を見せた。
その態度にアキラは苛立った。
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