性の目覚め・12才ヒカル 2


(2)
相変わらずニヤついたその表情の気味の悪さに確信めいたものを感じたその時。
「ヒカル、帰ろう」
幼馴染のあかりが声をかけてきた。ヒカルが蔵で倒れた日から、彼女なりに心配
しているのか、一緒に帰ろうと言ってくることが多くなっていた。
「ん、ちょっと待ってて、今行く。……んじゃ、そういうことで」
チャンスとばかりに友人に向き直り、簡単な挨拶だけをして背を向ける。
…と、後ろからランドセルをがっしと掴まれてしまった。
身動きがとれずにじたばたしている内にふたが開けられ、ゴトリ、とランドセル
の中に何かを入れられた音がした。
「何?何入れたんだよ?」
「へっへっへ。内緒」
「えー!?何だよそれー!」
ランドセルを下ろして中を見ようとすると、腕を抑えて止められてしまった。
「家に帰ってからのお楽しみ!」
「ヒカルーッ!」
なおも文句を言おうとしたところに、あかりの催促が入る。
ヒカルがあかりに気をとられた隙を見て、彼はヒカルのランドセルを力を込めて
一発叩き、さっさと逃げていってしまった。
「家に帰ってから見るんだぞー!」
「何なんだよ、もー!!」



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