悪代官−真夏の企み 2
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「ああ〜お代官様ぁ〜およしなはれ〜!」
「よいではないかよいではないか」
次の日の夕方。
ボクがテレビの電源を入れると、そこには着物の帯をぐるぐると取られていく遊女の姿が。
おそらく水戸○門か遠山の○さんだろう、ありきたりな時代劇のワンシーンだ。
「…待てよ?着物…?」
悪徳代官が女の帯を相変わらず楽しそうに引っ張っている。
それを見て、ボクは最高に素晴らしい事を思い付いた。
「そうか…これだ…!」
よし、早速準備だ!女用の浴衣を調達しなくちゃ。確かお母さんの箪笥に昔入ってた記憶があるな。ボクはお母さんの目を盗み、箪笥の中を開けてみた。
「あった!」
我が母ながら、ミーハーだなと呆れてしまった。だってそこに入っている着物や浴衣はどれもこれも色が派手だ。オバサンにはどう考えても似合わない。いや、それどころか、いくら若くても地味な顔には似合わない。それぐらい母の着物は派手だった。
「進藤ならどれを着ても着こなせるだろうな。」
そう言いながら、ボクは浴衣を吟味し始める。黒地に金色のラメ(だっけ?)が施された生地や、濃いピンク地に花火の模様が描かれた生地。どれも進藤に似合いそうだ。
そして小一時間程考えに考えた末、ボクは赤い生地を選んだ。
「これが進藤に一番よく似合いそうだな、決めた」
ちなみに帯は光沢のある黄色い生地を選んだ。以前町中で進藤似の可愛い子が、赤と黄色の組合せの浴衣を着ているのを見たからだ。
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