大人遊戯 2
(2)
留守番をしていたヒカルが、息せき切ったアキラを玄関先に迎えたのは、約束の30分も前の事だった。
その気忙しさをヒカルが笑うと、アキラは恥じ入ったように俯いた。真っ赤なほっぺが色を増した。
アキラの林檎のような頬にヒカルの暖かな両手が押し付けられる。寒かったろ?と労った。
ヒカルのそんな優しさも、アキラは大好きなのだった。林檎が更に熟れた事にヒカルは気付かない。
二階のヒカルの部屋は綺麗に片付けられていた。自分の為に片付けたと言われて、アキラは心が踊った。
落ちつかずに部屋を見回す。ヒカルらしい部屋、ヒカルの匂い。何もかもがアキラを浮かれさせた。
ジュースを運んできたヒカルは、アキラのそわそわした様子を怪訝に思いながらも、
彼をベッドに腰掛けるように促すと、自分もその隣に座った。
「受験は昨日で終わったんだよな?どうだったんだ…って、塔矢は、海王は合格圏だったんだっけ」
「うん…でも発表があるまで結果は分からないし」
「受かってるといいな」
「…うん…ありがとう…」
間近に感じるヒカルの体温に、アキラはどぎまぎしてしまう。
ヒカルの可愛らしい笑顔、ジュースのストローを咥える唇、ハーフパンツから伸びる素足が視界に入る度に
心拍数が上がってしまう。アキラはひとつ深呼吸をすると、思いきってヒカルに向き直った。
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