失着点・龍界編 2


(2)
三谷と供に男達にこの人気のないマンションの一室に連れ込まれてどれくらい
時間が経ったのだろう。

その日、ヒカルは午前中の指導碁の仕事を終え、空いた時間にたまには他の
碁会所をのぞいてみようと街を歩いていた。
つい先日、ヒカルは名古屋の親類の家から東京の自宅に戻った。
明日は、久々に東京の棋院会館での大手合いだ。アキラと同じ空間で打てる。
もちろん伊角と和谷もいる。だが、アキラと二人だけで過ごした日々の中で、
彼等との出来事は紅茶の中の角砂糖のように小さくなりやがて消えて行った。
当然失踪騒動のツケはかなりのものになった。自分よりアキラの方がより多く
のものを失ったはずである。大きなタイトル戦への挑戦権もはく奪されかねな
かった。だがアキラは何一つ日本棋院や棋士会の決定に異義は申し立てないと
いう意思表示をした。
結果的にはイベントなどの対外的な活動を3ヶ月停止することに留まった。
後は本人達の精進の精神に寄る所と判断してもらえたのだ。二人は再度、
囲碁の高みを目指す事を誓った。離れていても目指すべき場所は一つなのだ。
「…強くなっているんだろうな、塔矢…。」
そういう明るい気分で、いつもは行かない場所にまで足を延ばしていた。
碁会所の中にはいかにも怪し気な看板に囲まれたビルの一角にあったりして、
当然そういうところは避けていた。どんな相手でも怯まず戦えるようになる
のが理想ではあったが。
そういう類の場所から2人の男と連れ立って出て行く三谷を見かけたのだ。



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