スノウ・ライト 2


(2)
いつの時代の、どこの国のことでありましょうか、一人のお妃がおりました。
長くてつややかな黒髪を持つ、美しい面立ちをした方です。
お妃は碁を打つのが大好きで、今日も打っておりました。
ふとしたはずみで碁石が手から転がり落ちてしまいました。
お妃は拾おうとして、窓の外に雪が降っているのに気付きました。
雪は窓辺のランプの灯かりを受けて、きらきらと輝いております。
「盤上の熱き戦いと同じように、千年の時を経ても変わることなくこの世にある、雪。
この雪のように輝きつづける子がほしい――」
お妃のつぶやきは神へと聞き届けられます。
それは愛らしい赤子が生まれたのです。その子はスノウ・ライトと名づけられました。
毎日碁を打ち、しかも姫まで恵まれ、お妃はとても幸せでした。
しかしお妃はまもなく水難にあい、この世を去ってしまいます。
実は他の后に追い詰められたとの噂もありましたが、記録には残っておりません。
幸いなことにお妃の忘れ形見は、すくすくと成長していきます。
その光り輝くばかりの魅力より、その子はヒカル姫と呼ばれるようになります。



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