失着点・展界編 2


(2)
バンッとアキラに鼻先でバスルームのドアを閉められてしまったが、
カギは掛けられなかった。中でシャワーの音が響き始める。
トイレと別とはいえ独身者専用の造りになっているのでバスルームは狭い。
ヒカルはドアがアキラの背中にあたらないよう必要最低限だけ中へ押し、
ネコのように隙間から浴室に滑り込む。アキラは振り向こうとしない。
ボディーシャンプーで手早く髪を洗っている。
ヒカルはそのアキラの背中に向かって何かを言おうとし、唇をかすかに
「オレ…」というかたちに動かした。だが声は出なかった。
そして泡が伝い滑り落ちる滑らかな白い背中に頬をくっつけてヒカルは
アキラの細い体をきつく抱き締めた。
シャワーの勢いがヒカルの色の薄い前髪を濡らし固く目を閉じたヒカルの
顔面に張り付かせて行く。
アキラは無造作に自分の前髪をかきあげ、お湯の吹き出し口に向かい何かを
考え込むように顔を流していたが、一度シャワーを止め、ヒカルに問いた。
「…何かあったの?」
「え?」
「いや、別にいいけど…、変にはしゃいでいるかと思うと急に黙り込んだり、
なんか、そういうのが時々あるからさ。」
アキラはもう一度シャワーのコックをひねってヒカルをくっつかせたまま
腕や胸を洗い流す。
ヒカルはアキラは鋭いと思った。だからこそ、いつかはなんらかのかたちで
伝わってしまうと思った。自分と和谷との出来事を。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル