やりすぎ☆若゙キンマン〜ヒカルたん癒し系〜 2
(2)
朝食を囲む食卓は異様な空気に包まれていた。
つい前日まで若゙キンマンと仲良く食事していたヒカルたんは、トーマスと二人だけの世界
をつくっている。
その隣でなんともないような顔をして若゙キンマンは黙々と食事をする。
佐為はおろおろして食事どころではなかった。
「ごちそうさまでした」
若゙キンマンは早々に席を立った。
「もう終わりですか? まだ随分と残っているじゃないですか」
佐為は心配そうに見つめる。けれどヒカルたんはそれに気づきもしない。
「すみません。これから急いで行かなければならない用事ができてしまったので」
若゙キンマンはそう言って謝ると、ヒカルたんを見つめた。だがヒカルたんの目に若゙キン
マンがうつることはなかった。切なそうに顔を歪めると、若゙キンマンは俯いてその場から
立ち去った。
その寂しそうな後姿を見て、佐為は怒鳴らずにいられなかった。
「ヒカルたん、どういうことですか? あれじゃ若゙キンマンが可哀想ではありませんか」
佐為の金切り声にヒカルたんは驚いた。
「何だよ朝から大声で」
鬱陶しそうに睨むヒカルたんに、佐為の怒りは更に増した。
「随分と酷いことをするんですね。昨日まであんなにも好きあっていたのに、こんなにも
すぐに捨てることができるんですか? 最低です、ヒカルたんなんか最低です」
そう言うと佐為もその場から立ち去った。
残されたヒカルたんはわけがわからず、小首をかしげた。
「何で佐為のヤツ、怒ってんだ? っていうか若゙キンマンて誰だよ」
ヒカルたんの言葉にトーマスは目を見開いた。
「ん? トーマスは若゙キンマンってヤツのこと知ってんのか?」
その問いにトーマスはどう答えようか迷ったが、知らないフリをするしかなかった。
「…いや、知らねーよそんなヤツ」
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