肉棒だらけの打ち上げ大会 2 - 3
(2)
それを目にした途端、アキラは目を丸くした。
「なっ、なんなんですかコレ!?」
「・・・塔矢、こっちを見ろ」
岸本は五円玉に糸を通した物を、アキラの目の前に吊るし、それを左右に
揺り動かした。
「お前は、だんだん眠くなーる」
一昔の古くさい仕掛けに、アキラは いとも簡単に催眠状態になった。
「お前は、だんだん服を脱ぎたくなーる」
目がトローンとしたアキラは素直に「ハイ」と頷くと、自ら浴衣の紐を
解きだした。こんな方法で暗示にかかるアキラが不憫で、岸本は涙ぐむ。
「下着も取れ」と岸本が命じると、アキラは白いブリーフを脱ぐ。
「すまない塔矢、お前が脱がないと代わりにオレが脱がなきゃ
ならないんだっ!」
裸のアキラは、肌の色は白く華奢で無駄な肉はなく、見事な肢体だった。
同性である岸本でもドキッとする。
「仕上げに・・・お前はピンクレディのUFOの歌・振り付けをしろ」
アキラにゴメンと両手を合わせて謝り、岸本はその場からスタコラサッサ
と逃げ出した。
「UFO!」
アキラは、ピンクレディの歌を歌いながら踊りだした。
その様子はオカシイやら、色っぽいやら、とにかく滅多にお目にかかれ
ない芸が繰りひろげられているので、アキラの周りに野次馬が群がり
始める。宴会の料理を頬張っていたヒカルも ようやく事態に気づき、
急いでアキラの元へ走り寄った。
(3)
「うわああー! 塔矢なんてカッコしてるんだよっ!!」
床に落ちている浴衣を裸のアキラに被せる。
「ああ、進藤君駄目だよ! 今ちょうどデジカメでアキラ撮って
るんだから」と、芦原が文句を言う。
「私も写真を撮っているんだから邪魔しないでよ進藤っ!」
芦原の隣に奈瀬がパシャパシャとアキラの写真を撮っている。
「芦原先生、それに奈瀬まで・・・・・何やってんだよおっ!」
「何って、デジカメ撮ってるんだよ。アキラのやつは高くマニアに売れる
しなあ」
「院生でも、塔矢君のファンって多いのよ。この写真売れるわよ!」
「駄目だっつーの!! 塔矢はオレ以外に裸を見せちゃ駄目なんだっ!」
自分のセリフにハッとなるヒカルに、芦原と奈瀬の二人はニヤニヤして
いる。
「なーんだ、アキラとは そういう仲なんだ」
「へー、進藤と塔矢君デキてたんだ」
「悪いかよっ!!」
「いや、オレは他人のことに とやかく干渉はしないからさあ」
「私も別にどうでもいいな。それより進藤、お願いがあるんだけど」
「なっ、なんだよ お願いって」
奈瀬と芦原は、お互い目を合わせて いっせいに口を開けた。
「ヤッているところをゼヒ撮らせて。高く売れるから」
ヒカルの額にピキっと青筋が立ったその時、会場内がザワザワと騒がしく
なった。なんだろうと賑やかな声が聞こえる方にヒカルは顔を向けると、
そこには全裸の行洋がディズニーマーチを歌い、ミッキーマウスの振り
付けをしていた。行洋の脇から五円玉をぶら下げた岸本が走り去っていく
姿があった。
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