嘆きの少年王・訂正編 2 - 3


(2)
「アキラ…王」
彼の呼び声か、それともドアの向こうからの呼び声に応えてか、少年が身体を跳ね起こし、
寝台の横に掛けられていたガウンを素早く着こんだ。
そして彼をそこに置いたまま出入り口へ向かい、ドアを開けた。
「アキラ!何してんだよ!?さっきから呼んでるのに!!」
「…どうしたんだ?キミがここに来るなんて…?」
若干震えた声で、戸惑いがちに少年が尋ねる。
「どうしたじゃねぇよ!もう撮影はじまるんだぜ?なにしてんだよ、こんな所で!」
「撮影…?何の、ことだ…?」
戸惑いの中に期待を隠さず、少年がもう一度尋ねる。
「何のことだ、じゃねえ。表紙の撮影だよ!今日の一時からって聞いてねぇのか、おまえ?」
「聞いてない、そんなこと…そんな…」
そして突然何かに気付いたように大きく目を見開き、大声で呼ばわった。
「座間!座間!!」


(3)
「お呼び頂きましたでしょうか、アキラ王。」
次の間に控えていた執事がいそいそと王の前に現われ、恭しくひざまずいた。
「ボク宛の郵便物を、おまえはどうしたのだ!」
「王宛の郵便物でございましたら、ちゃんとわたくしめが、差出人その他を確認の上、
十分な効果が出るまで、控の間に放置、しておきましたが?」
アキラ王の目が怒りに燃え上がる。
「放置、だと!?ふざけるなっ!!」
ガタッと大きな音を立てて、アキラ王が執事に詰め寄った。
「その中に、ジャムプ偏執部からの報せはなかったか!?
このボクが撮影すっぽかしなど、おまえはボクの顔に泥を塗るつもりだったのか?」
怒りのあまり、アキラ王は座間執事に向かって手を振り上げた。
平手を食らわそうとしたアキラ王は、だが、うっとりとした表情でそれを待ち構えている執事を
見て、なんとか震えながらも手を止めた。そして、振り返って、言った。
「済まない、レッド。」
そして呆れ顔のレッドに向かって真摯に頭を下げた。
「どうやら偏執部からの報せは届いていたにも関わらず、ボクには伝わっていなかったようだ。
ちゃんと確認しなかったボクのミスだ。今から急いで行く。5分だけ、待ってくれ。」
そう行って、身支度を整えるために奥の間へ向かった。



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