金魚(仮)(痴漢電車 別バージョン) 2 - 3
(2)
アキラは改めて、目の前の美少女を見つめ直した。
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「…………………………………もしかして…………進藤………?」
驚愕に跳ねる心臓を気力で押さえつけ、出来るだけ静かに訊ねた。
「もしかしなくてもオレだ!」
美少女は仁王立ちに腕組みをし、ふんぞり返って答えた。
「……………………キミ…………なんて格好しているんだ………」
この場合、ヒカルだとわからなかったからと言って、責められる筋合いはないと思う。何せ、
ヒカルは普段とはまったく違う姿をしていたのだから…………。
「…………どうして、セーラー服なんか着ているんだ!?」
今日の彼は、紺のセーラーカラーに白の上着、カラーと同色のミニのプリーツスカートに、
膝丈までのニーソックスという出で立ちだ。
声をかけられるその瞬間まで、よく似た他人だとしか思っていなかった。
「ああ、コレ?」
ヒカルはセーラー服のスカートを少し摘んで、持ち上げた。ただでさえ、短いスカートなのに、
今にも下着が見えそうだ。
アキラは、その部分を凝視している自分に気が付いて、慌てて視線を外す。が、すぐに、
ヒカルの可憐と言ってもいいセーラー服姿が気になって、アキラは躊躇いながらも、そっと視線を戻した。
「オレ、結構、イケてると思わネエ?」
そんなアキラにまるで気付いていないのか、ヒカルは例のお日様のような笑顔を自分に
投げると、そのままくるりとまわって見せた。ヒラヒラ軽いスカートがふわりと風に舞う。
ヒカルの白い太腿が露わになる。その白さが、網膜を通過せずに、直接脳を刺激する……
そんな錯覚を起こした。アキラは目のやり場に困って、赤くなって俯いた。
(3)
「なあ、何とか言えよ…」
黙っているアキラに焦れて、ヒカルが催促する。
そんなことを言われても、何を言えというのだ。似合っているとか、可愛いとか言えばいいのか?
冗談ではない。そんなこと死んでも口に出せない。
ヒカルが小さく溜息を吐いた。
―――――ちぇっ……みんな似合うって言ってくれたのに………
少し拗ねたような、呟きが耳に入った。
みんな!?
みんなって誰!?
アキラは血相を変えて、ヒカルに詰め寄った。
一瞬ヒカルは呆然として、それからすぐにニヤリと笑った。しまったと思ったときは、
もう遅かった。
「ココじゃ何だから、向こうのベンチに行こうぜ。」
ヒカルはニコニコ笑って、アキラの手を引いて歩き出した。
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