大人遊戯 2 - 3


(2)
留守番をしていたヒカルが、息せき切ったアキラを玄関先に迎えたのは、約束の30分も前の事だった。
その気忙しさをヒカルが笑うと、アキラは恥じ入ったように俯いた。真っ赤なほっぺが色を増した。
アキラの林檎のような頬にヒカルの暖かな両手が押し付けられる。寒かったろ?と労った。
ヒカルのそんな優しさも、アキラは大好きなのだった。林檎が更に熟れた事にヒカルは気付かない。
二階のヒカルの部屋は綺麗に片付けられていた。自分の為に片付けたと言われて、アキラは心が踊った。
落ちつかずに部屋を見回す。ヒカルらしい部屋、ヒカルの匂い。何もかもがアキラを浮かれさせた。
ジュースを運んできたヒカルは、アキラのそわそわした様子を怪訝に思いながらも、
彼をベッドに腰掛けるように促すと、自分もその隣に座った。
「受験は昨日で終わったんだよな?どうだったんだ…って、塔矢は、海王は合格圏だったんだっけ」
「うん…でも発表があるまで結果は分からないし」
「受かってるといいな」
「…うん…ありがとう…」
間近に感じるヒカルの体温に、アキラはどぎまぎしてしまう。
ヒカルの可愛らしい笑顔、ジュースのストローを咥える唇、ハーフパンツから伸びる素足が視界に入る度に
心拍数が上がってしまう。アキラはひとつ深呼吸をすると、思いきってヒカルに向き直った。


(3)
「あのね、今日は進藤くんに言いたい事があって来たんだ」
「おっ、おう…」
トマトの様に赤くなりながらも真剣なアキラの瞳に、ヒカルは少したじろいだ。対局の時と同じ位真っ直ぐな目だ。
「ボク…ボクね」
「う、うん…」
言いながら、アキラはヒカルの手をぎゅうっと握ってきた。耳の先どころか、手まで真っ赤になっている。
「進藤くんの事が、好きみたいなんだ」
思ってもみなかったアキラの言葉に、ヒカルは驚いたような拍子抜けしたような、素っ頓狂な声で聞き返す。
「へっ?好きなの?」
「うん…好きなの…」
手を握り締めたまま遂には俯いてしまうアキラ。だが、やがてヒカルはその手を優しく握り返した。
「なーんだ、そんなの、オレだって塔矢の事好きだもん。おあいこだなっ」
「えっ…本当?」
「うん、ほんと。だってお前良いヤツじゃん。だから好き」
ヒカルの言う「好き」はLOVEではなくLIKEなのだが、幼いヒカルはその区別が出来なかった。
そしてアキラも、ヒカルの「好き」をその様に認識したが、それでも良いと感じた。
何しろヒカルが「好き」と言ってくれたのだ。両思いに違いないと都合よく解釈する事にした。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!