ルームサービス 2 - 3
(2)
「な・・に」
だが、すばやく立ち上がった黒髪の少年が、生き物が質問を発する前に唇を閉じてしまった。
「んっ」
少年の舌が生き物のかわいらしい唇を割って入り、生き物の頬の色がさらに濃くなり、閉じられた睫が震える。
「んっん」
俺はギクシャクしながら、部屋を出た。や・・、と生き物の声が聞こえる。首筋がちりちりとして死にそうだった。
生き物の唇をむさぼっている少年が、ぎろりと俺を睨んでくる。ああ、そうだ。こういう場合でも何も見なかったように部屋を去るのが
俺の仕事だ。
だが・・。
前が膨らんでしまっている。なんてことだ。たかだキスシーン。裸を見せられたわけでもないのに。たったそれだけで。
「失礼します」
(3)
しかし、テントを張った前をどうにかしなければどこにもいけない。
ちくしょう・・・。手ぢかなトイレに向かおうとして、ふと気が付いた。
サインもらってないじゃないか。
振り返ろうとしたとき、部屋の扉があいて、おかっぱが出てくる。
俺は少しがっかりした。もう一度、あの生き物の姿が拝めると思ったのに。
「サイン、忘れてますよ」
でサインをしながら、俺の股間に、ふと視線を落とした。
おかっぱの唇に笑みが浮かぶ。
・・・ああ笑え、たっちまってるよ。ちくしょう、・・・
「今日の勤務はいつあがるんですか?」
「へ?」
「じゃあ、あがった後に部屋に来ます?」
「へっ?」
驚いたておかっぱを見る。それって。
「進藤は見られてる方が好きなんだ」
急にオカッパの口調が変わった。
「キミも見たいんだろ、進藤を、じゃあこいよ」
俺は信じられない思いでオカッパを見詰めつづけた。
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