通過儀礼 自覚 2 - 5
(2)
アキラはふてくされつつも、驚いた拍子に床に飛び散ってしまった碁石を四つん這いにな
って拾い始めた。それを見て加賀も拾うのを手伝う。
「う〜ん、取れない…」
アキラのその声に気づいた加賀は振り向いた。そしてその姿を見て思わず赤面した。
アキラは棚の下に転がった碁石を取ろうと必死になって手を伸ばしていた。だが腕が短く
て届かないらしく、尻を高く掲げながら棚の下に手を伸ばしていた。尻の間にうっすらと
小さな膨らみがあるのが見える。アキラは手を伸ばすたびに尻を高く掲げるので、その度
に股間の膨らみもズボンの上からはっきりと形をあらわした。
加賀は息をのんでそれを見つめる。
「ふ〜、やっぱり取れない。加賀君取って」
アキラは振り向き加賀に頼む。だがその無垢な目はさらに加賀を戸惑わせた。加賀はアキ
ラの体を見ているうちに性的欲求を感じていたのだった。
「あ…、ああ」
加賀はゆっくりとアキラに近づき向かい合うように座ると、アキラの指差す方へ手を伸ば
した。
「取れた?」
アキラの声に加賀は振り向く。アキラは正座を崩したように座って棚の下を心配そうに見
つめていた。しかし加賀の視線はちょうどアキラの股間にいくような体勢になっていた。
股間を間近に見た加賀は興奮して胸の高鳴りが止まらず鼻息が荒くなった。冗談じゃない
と思った加賀は、碁石を掴むと急いで起き上がった。
「ありがとう」
アキラは先ほどのことなど忘れて無邪気に手を差し出す。だが加賀は碁石を背中に隠した。
「右手と左手、どっちに入っているか当てたらやるよ」
加賀は口元をニヤリとさせた。アキラに対する欲情を信じたくなかった加賀は、からかわ
ずにはいられなかったのだ。
アキラは小首をかしげて少し考え込むと右手と言った。
「残念。左手でした〜」
加賀は嘲るようにして言うと背中から碁石を掴んだ左手を見せた。
その態度にアキラは苛立った。
(3)
「ずるいよ。だって今のボクが右手って言った後に左手に石を隠すことだってできるもん」
アキラは文句を言う。だがイカサマなどせずに偶然勝った加賀は、それを聞いて怒りを自
制できなくなった。
「何だよそれ。おまえがはずしただけなのに、何でオレがズルって言われなきゃならない
んだ?」
「それじゃあもう一度しよう。今度はズルしないように腕を隠さないで前に出してよね」
アキラは威張るようにそう言った。負けず嫌いと不正を許さない真面目さがそうさせたの
だろう。だがそれは加賀の目には生意気にうつった。
「どっちに入っているかなんて、そんなの石を握る手は握ってない手より力が入っている
んだから見ればすぐわかるだろ。それならどっちの手に入っているかじゃなくて、手に何
個石が握られてるか当てるゲームにしようぜ」
「…いいよ」
加賀の提案にアキラは頷いた。一度始まってしまったゲームを途中で終わらせることなど
できなかったアキラは、絶対に勝つとでもいうような目で加賀に挑んだ。
(4)
加賀は碁笥を持ってくると、音をたてないようにそっと碁石を両手で握った。
「ホレ、何個入ってるか」
目の前に出された手をアキラは唇を噛みしめながら見つめる。何個入っているかなどわか
るわけがなかった。しかし一度やると言った以上後には引けない。アキラは握る手の大き
さから勘で数を言ってみた。
「12個」
すると加賀は手を開いて見せた。
「はずれ〜。7個でした」
加賀は楽しそうに笑った。
「こんなの見ただけでわかるわけないよ」
アキラは悔しそうに、そしてこのゲームの不条理さを指摘した。
「それならオレの手をさわってもいいぜ。少しはヒントになるだろ」
加賀は新に碁石を握り直すとアキラに見せた。アキラはその手を包み込むように握る。だ
が小さいその手は加賀の大きな手にふれたところで、碁石が何個入っているかなど予測で
きなかった。それどころか何度も握り直す加賀の手が微妙に大きさが変わっているような
気がして、何度も手にふれて確かめる。その姿を加賀は呆然と見つめていた。真剣なまな
ざしで何度も自分の手にふれてくるアキラがかわいくて、加賀は次第にこの気持ちが嘘で
はないことに気づく。そして自分の気持ちを理解した途端、下半身が熱くなるのを感じた
加賀は、握っていた碁石を投げ捨ててアキラを抱きしめた。
突然抱きつかれたアキラは一瞬何が何だかわけがわからなかった。だが自分が加賀の腕の
中にいるのだとわかると暴れだした。
けれども加賀は放すどころかさらに抱き寄せる。加賀は自分を抑えきれなくなっていた。
「やだ! 加賀君、はなしてよ」
きつく抱きしめられ、息もし辛くなったアキラは逃げようと身を捩った。
「加賀君てば! 聞こえてるの? ゲームの途中だよ。ふざけないで」
同じ小学生とはいえ体格の差が激しく、体の小さいアキラの抵抗は無に等しかった。それ
なら言葉でと思い話しかけたのだったが、それは逆にアキラをさらに追い詰める結果とな
るのだった。
(5)
「そうだったな。ゲームの途中だ」
加賀はそう言うとアキラを抱いたまま碁笥に手を伸ばした。そして碁石を掴めるだけ掴み
取ると、おもむろにアキラのズボンを引っ張った。隙間から小ぶりの形のいいぷりんとし
た尻が見える。加賀はその中に握っていた石を押し込んだ。
「ヤッ…、冷たい!」
下着の中に何個もの碁石を入れられたアキラは、石の冷たさとこれから何をするのかわか
らない加賀の怖さに驚いて泣き出しそうになった。
「ホラ、何個入っているか当ててみろよ」
加賀はそう言って尻やら股間をしつこいくらい何度も揉んだ。その度に碁石のひんやりと
した冷たい感触やゴツゴツとした石の硬さがアキラの珍子やアナルを刺激して、アキラは
悲鳴をあげた。
「ア…ッ、アアン! 揉んじゃやだぁ。取って、石取って」
アキラはしきりに頭をふって嫌がった。だがそのあえぎ声は加賀をさらに昂らせていた。
「なんだよ、気持ちよさそうな声あげちゃってさ」
その反応が面白くて加賀は股間をまさぐる手を止めない。その刺激に耐えられなくなった
アキラは、足をガクガクさせながら床へ崩れ落ちた。それに覆いかぶさるように加賀はア
キラにまたがる。
床に押さえつけられ逃げられなくなったアキラは、加賀の手を払おうと宙に手を泳がす。
それでも加賀の不躾な手は容赦なくアキラのまだ幼い股間を刺激する。
アキラも負けじと抵抗した。だが次第にそれは珍子をなでられる快感を思い出させ、アキ
ラは戸惑った。しかしそれを快感なのだと自覚すると、もっとその快感に浸りたくなった
アキラは目を閉じて股間に意識を集中させた。
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