ルームサービス 2 - 7


(2)
「な・・に」
だが、すばやく立ち上がった黒髪の少年が、生き物が質問を発する前に唇を閉じてしまった。
「んっ」
少年の舌が生き物のかわいらしい唇を割って入り、生き物の頬の色がさらに濃くなり、閉じられた睫が震える。
「んっん」
俺はギクシャクしながら、部屋を出た。や・・、と生き物の声が聞こえる。首筋がちりちりとして死にそうだった。
生き物の唇をむさぼっている少年が、ぎろりと俺を睨んでくる。ああ、そうだ。こういう場合でも何も見なかったように部屋を去るのが
俺の仕事だ。
だが・・。
前が膨らんでしまっている。なんてことだ。たかだキスシーン。裸を見せられたわけでもないのに。たったそれだけで。
「失礼します」


(3)
しかし、テントを張った前をどうにかしなければどこにもいけない。
ちくしょう・・・。手ぢかなトイレに向かおうとして、ふと気が付いた。
サインもらってないじゃないか。
振り返ろうとしたとき、部屋の扉があいて、おかっぱが出てくる。
俺は少しがっかりした。もう一度、あの生き物の姿が拝めると思ったのに。
「サイン、忘れてますよ」
でサインをしながら、俺の股間に、ふと視線を落とした。
おかっぱの唇に笑みが浮かぶ。
・・・ああ笑え、たっちまってるよ。ちくしょう、・・・
「今日の勤務はいつあがるんですか?」
「へ?」
「じゃあ、あがった後に部屋に来ます?」
「へっ?」
驚いたておかっぱを見る。それって。
 「進藤は見られてる方が好きなんだ」
 急にオカッパの口調が変わった。
「キミも見たいんだろ、進藤を、じゃあこいよ」
俺は信じられない思いでオカッパを見詰めつづけた。


(4)
その後のオレの任務は散々だった。頭の中をあの小さなぷっくりとした唇が、潤んだ大きな瞳がちらつく。
本当に信じられない。
あの機械音。ヴァイヴの音だった。何度かきいてるから間違いない。あの可憐な生き物の下のお口には間違いなくあの瞬間にヴァイヴがつっこまれて振動していたのだ。
「・・・・くっ」
たちそうになる、自分をこらえる。
勤務が終わるまでがとてつもなく長い時間に感じられた。

「もうすぐ彼が来るよ」
進藤にささやきかける。だが、進藤には聞こえているのかいないのか。ただ、弱弱しく首をふるばかりだ。
ムリもない。ぶっつづけに何時間もヴァイヴであえがされてちっとも休んでいない。しかも一度も達していない。前はかわいらしくたちあがったままずっとなので相当体力的にきついだろう。
「お・・・わらせて、とう・・・や・・・で。・・・・いき・・・たい」
塔矢の肩にアタマをすりつけながら、甘えるように懇願してくる。
「だめだね。何でもするっていったじゃないか。キミ。それにもうすぐあいつが来る時間だ」
進藤の瞳が見開かれ、唇が噛み締められた。
「本・・・気・・・塔・・・ぁああああ」
突然ヴァイヴを引き抜いたので、進藤は大きく体をのけぞらせて、ひきつった声をあげた。
その後、衝撃を耐えるよういしたを向いてあえいでいる進藤のワキとひざの下に手を入れ、もちあげた。
「何・・・・するの」
不安そうな瞳が聞いてくる。
「お迎えの準備、彼が来る前にね」

長い長い勤務が終わりようやく俺はその部屋の扉をあけた。
目に飛び込んできたものは・・・・。
机の上に、大の字に広げられた、一糸纏わぬ手足。
いや、正確には一糸もまとってなかったわけではない。その上にはさきほど。ルームサービスで持ってきた。サンドウィッチが乗せられていたのだから。


(5)
「入れよ」
オカッパに言われて、硬直していた体がようやく動いた。
ドアを閉める手が汗ばんでいる。視線は机の上の裸身から離せない。
俺の視線を意識しているのかどうかはわからないが、生き物は、唇を
噛み締めて頬をそむけている。
驚いたことにその生き物は男だった。広げられた手足の中心には間違
えようのないものが、屹立し、きらきらと光っていた。さっき俺がも
ってきたメープルシロップが塗られているらしいと気が付いた。
人数にしてはやたらと量の多い注文だった。それはつまり食べるためで
はなかったらしい。腰枕をあてがわれているので、生き物の広げられた
足の奥まで、よく見えた。
生き物は・・・・。
華奢な足の中心からは、あわれにもグロテスクな異物がのぞいていた。
ヴァイヴではない。それにはコードがついてなかった。
唖然として何もできず、ただ生き物を見つづける俺の様子に満足した
ようにオカッパが、ソースで汚された、小さな乳首に唇をよせる。
そっと含んだかに見えたが、意表をついて、オカッパの髪は激しくゆれた。


(6)
「・・・・」
生き物は声を我慢したが、広げられた手足の震えから、緊張する内股の
筋肉から、感じているのがばればれだ。
弱弱しく震える睫に絡まった涙。噛み締められた唇からかすかにもれる吐息。
何かを訴えようとして、開き、またとじる唇。
弾けるような欲望が沸くのを感じた。
さわりたい。
この生き物の体中を思う存分なめまわしたい。
「さわるな」
オカッパの声に我にかえった。知らないウチに手を伸ばしていたらしい。
「汚い手で進藤にさわるなよ、犬」
「なっ」
言葉も出ない俺の顔を見てオカッパは笑う。
「エサをちらつかされてのこのこやってくるのは犬だろう」
「な・・・に言ってるんだ、お前」
そもそも来いと言ったのはこのオカッパではなかったか。
「犬は犬らしく口を使え」
「は・・・あ?」
「コレを」
オカッパは進藤(生き物の名前らしい)の足の間にはまってる
・・・(いわゆるプラグってヤツだろう)を示した。
「くわえて抜けよ。奥にはエサがつまってるぜ」
「や・・・だや・・・だって塔・・矢」
生き物が哀願する、だが、オカッパが生き物の体に唇を落とし、
愛撫を始めたので、すぐに生き物の声はイミのない嬌声に変わる。
「あ・・あ・・や・・ぁあ・・・やぁ・・・・あ」
生き物が拘束された体を机の上でひねる。可愛らしい唇が震える。


(7)
睫に涙のからまった大きな瞳が一瞬俺をとらえ、そののちに伏せ
られる。
俺は生き物の足の間に膝をついた。
顔をよせると、間近に迫った生き物のもっとも恥ずかしい部分が、
ひくりとふるえた。恐らく俺の息がかかったのに反応したんだろう。
そう思うと下腹部をしめあげられるように感じた。
すいよせられるように、生き物の体から突き出したそれを口に含む。
顎をひく。
思いの他に強い抵抗があった。
「・・・・・・っつ・・・・」
生き物がくるしげに内股をひくつかせる。
入り込んでいる主部分は結構巨大らしい。冷たく太い物体を深
くくわえ込んでいる輪状の筋肉が、物体につられてもりあがる。
額に汗が浮いた。プラグをくわえている顎が痛い。だが、俺はさらに力
を込めた。
プラグの主部がゆっくりと現れ始める。太い。あまりの太さに内部の粘膜
がプラグにからみついて引きずり出されてくる。
信じられない光景だった。
紅潮しているとはいえ十分に白い生き物の内股の肌と、プラグの銀色と
痛々しく引き伸ばされてひくひくと震えるピンク色の濡れた内壁。
「あっ・・・は・・・あっ・・う」
断続的にあえぐ生き物の呼吸に連動してその三色もあわれなリズムを刻む。
信じられない光景だった。
気絶しそうなほど興奮した。自分の鼻息で視界がかすみそうだ。



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