少年王アキラ 20


(20)
アキラ王とオガタンは、ある一室の中へと入った。
アキラ王が休息をとるための部屋である。
城のプライベートルームとは比べものにもならないが、それでも他の者たちの部屋の
何倍も広く豪華であった。

オガタンがアキラ王の肩を抱いて、寝台の方へと促した。
アキラ王はそれまで黙ってオガタンにされるがままだったが、思い切って
自分の心の中にある疑問を口にした。
「オガタン…さっきオガタンはレッドは百戦錬磨と言っていたが…やはり…
 レッドは経験済みなのだろうか…ボクの夢は叶わないのだろうか?」
アキラ王は悲しげだった。切れ長の瞳に涙がにじんで見えた。

シモタ━━━━━━━(゚Д゚;)━━━━━━━!!!!
アキラ王は聞き流していたように見えて、しっかり憶えていたのだ。
オガタンは、ついうっかりと本当のことを言ってしまった自分を激しく叱責した。
『ばか!ばか!俺のばか!』
何とかごまかさなければならなかった。オガタンは、アキラ王に背中を向けた。
「ち…違いますよ。レッドは浚われなれていると言いたかったのです。
 浚われることにかけては、右に出るものがいないぐらいのレッドを
 簡単に手に入れることは出来ない…そう言うことです。」
苦しい言い訳だった。そう言うことって、どういう事なんだ。意味が通っているのか
いないのかわからないと自分でも思った。さすがのオガタンも、こんな大ウソを
アキラ王の顔をまともに見て話すことは出来なかった。

「本当か!?そうか…!」
予想に反して、アキラ王は喜びに弾んだ声を出し、オガタンの手を引っ張った。
「さあ、オガタン。さあやろう!すぐやろう!早く!ここで経験値をためて、
 レッドを手に入れるんだ!」
アキラ王のキラキラ輝く瞳に、オガタンはたじろいだ。



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