裏階段 三谷編 20
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不思議だがあんな仕打ちを受けても伯父の死は悲しかったのだ。そして、身内ですら厄介払いが
出来たという表情を隠さない中であの人も悲しげな眼をしていた。その眼で語りかけて来た。
「わたしも弱輩ものだ。まだまだ分からないことが多すぎる。君に囲碁の何を教えてあげられるか
よく分からない。…共に学んでいこう。」
若手から中堅に差し掛かり数々のタイトルのリーグ入りの常連でありながら
本心からそんな言葉を、それこそどこの馬の骨ともしれない子供に与えられる人だった。
伯父が意識的に何度かその人を自宅に誘い、碁を打つ事を依頼していた事を後で知った。
自分の身に何かあった時に甥っこを託せる相手はその人だけだと確信し、引き合わせようと
していたものだったらしい。自らそう選択しながら自ら苦しんでいた。
伯父はそういう不器用な人間だった。囲碁において、人生において。
彼の体毛から指を離し、再度彼の両手首をベッドの上に組み敷き彼の中を突き上げる動きを速める。
「ハアッ…うああ…あ、ンああっ…!!」
彼の分身が充分に熱を持ち高まりきる寸前なのは分かっていた。激しく動き揺さぶり、彼の
奥部が精を吐き出そうとうねり内圧が上がる。その間際にこちらの動きを止めた。
「う…うっ!」
意図的にはぐらかされた事を悟った彼は、恨みがましい眼でこちらを睨んで来た。
ハアハアと互の呼吸音と視線だけの会話となる。彼は早くその瞬間を欲しいと望み、こちらは
今のこの状態をもう少し続けると伝える。しばらく睨み合った後、勝手にしろ、と彼は視線を
反らした。ただ無心に時を刻むように熱く鼓動が脈打つ彼の内部が、今は心地よかった。
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