誘惑 第三部 20
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ヒカルはあっという間にアキラの口の中で弾けた。
放たれたものを当然のように喉を鳴らして飲み込み、ヒカルを上目遣いに見ながら、
「精液は栄養あるってホントかな?」
そう言って、小さく笑いながら口の端に零れたものをペロリと舐め取った。
端整な顔に浮かぶ淫猥な表情にゾクリと心が震える。いや、震えるのは心だけじゃない。
「キミだって、一回出したくらいじゃおさまらないくらいのくせに。」
圧し掛かるようにヒカルの眼前に顔を突きつけながら、勢いを失っていないヒカルを弄る。
「ボクの身体の心配なんかするなよ。それくらいだったらキミをよこせ。
足りなかったのはキミだ。今ボクが欲しいのはキミだ。キミだけだ。」
真っ直ぐに見据える黒い瞳に心を奪われる。ドクン、と心臓が脈打つと同時に、アキラの手の中の
ヒカルが、ぐん、と大きくなる。ヒカルの中の衝動を見透かしたようにアキラが目を細め、
「これでもまだやめるなんて言うの?」
煽り立てるように耳元で囁く。
「とう…」
伸ばしかけたヒカルの腕を振り切るようにアキラは身体を起こす。
「欲しかったら嫌だって言ってもやれって、言ったのはキミの方だ。」
そう言いながらヒカルを見下ろしてにっと笑うと、ヒカルを呑み込むように一気に腰を沈めた。
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