sai包囲網・中一の夏編 20
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「痛い、痛い!塔矢、痛い!」
まるで折檻をされる子供みたいに髪を振り乱す、進藤。かなりの狭さ、
きつさに、こちらまで冷や汗が出て来る。もっとも、痛みに奥歯を噛み
締めながらも、ここで止めるつもりはないけれど。
「進藤」
「ふぇ、えっ・・・」
ぼろぼろと拭うこともできない涙が、ソファーにシミを作る。
これじゃ、先に進めないか。
「つっ・・・」
「うわぁ!?」
一度、抜こうと腰を引けば、熱い粘膜が絡みついて来る。思わず押し
進みそうになるのを堪えて、進藤の身体を放した。
「はぁ、あっ・・・」
やっと解放されたと安心でもしたのか、浅く早い息を吐きながら進藤
はぐったりと身体を投げ出した。後ろ手に縛られたまま、腰だけを高く
上げた、淫靡とも言える痴態も気にならないみたいだ。
「進藤」
「あっ、何?」
キリキリキリ。テープを切るために持って来たカッターの立てる音に、
顔を上げた進藤の視線が注がれる。歯をそちらに向けた途端、びくりと
小さな身体が竦んだ。
「な、何、するんだ?」
「別に。テープを切るだけだよ」
「あっ、そっか・・・」
気が抜けたみたいに、がくんと進藤の薄い肩が落ちる。
「動いちゃダメだよ」
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