金魚(仮)(痴漢電車 別バージョン) 20


(20)
 最初は茫然としていたヒカルの表情が見る見る険しくなっていく。ヒカルはキュッと唇を
噛みしめると、アキラに向かって怒鳴った。
「バカ!マヌケ!塔矢の役立たず!オマエのせいで、チカンにあったじゃねえか!」
「は…?」
猫のようにふーふーと逆毛を立て、アキラを威嚇する。
 突然どうした言うのだろう?チカンにあってショックを受けたのだろうか?だが、これに
関しては自分にだって言い分がある。
「キミが勝手に離れたんじゃないか……」
「だって…!」
淡々としているアキラと対照的に、ヒカルは既に半泣き状態だ。
「だって…本当にチカンされるとは思わなかった…!」
ヒカルの両方の目から、涙がポロポロ零れ始めた。
 これは反則だ…どう見ても自分の方が悪者ではないか…周りの視線が痛い。いや…それよりも
胸がズキズキする。
「ゴメン…悪かったよ…」
 アキラは一言そう謝ると、しゃくり上げるヒカルの手を引いて改札を出た。あそこはあまりに
人目がありすぎる。静かな場所に行きたかった。



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