しじま 20


(20)
艶声がした。それはボクのものだった。痛みが快楽にすりかわりはじめたんだ。
「とうや、んなか、すごく熱くて……気持ちいい……おまえらがしたがるの、わかる……」
その言葉にボクの胸に手をまわしていた進藤を思い切りつねった。
「いてぇ!」
進藤が文句を言うまえにボクは言った。
「二度と! おまえら、なんて言うなっ。もう和谷とボクを一緒にするな!」
声をつまらせるのがわかった。そしてすぐに小さくゴメン、と聞こえてきた。
だけど進藤自身が落ち込むことはなかった。
ふたたびボクのなかを進藤は味わいはじめた。
そしてボクも進藤を味わった。
ボクたちの声が明るい部屋に満ちていた。

一つわかった。後ろから入れられるのは、とても疲れるということが。
進藤としたのは三回。最後はコンドームをつけなかった。
直接、進藤の体温が伝わってきて、それだけでボクは昂奮した。
残念だったのは進藤の放ったものが、そんなに多くなかったことだ。
ボクはたくさん自分のなかに欲しかった。たとえあとで地獄が待っていようとも。
「……するのって、メチャクチャ体力使うな。されるよりも疲れた」
「されるほうが疲れたよ。身体に負担がかかる」
「わかったらもっと大事にしてくれよ」
「……ボクが今まで、きみを大事にしていなかったとでも?」
進藤は首を振ると、毛布のなかに顔をうずめた。くぐもった声が聞こえてきた。
「オレもおまえを大事にする」
「え?」
聞き違えたんじゃないだろうかと思ってしまった。
顔を見たい。手を毛布にさしこんで、その頬を撫でる。進藤はぴくりとした。
「本当におまえの手って冷たいのな」
ボクはなんど進藤に、心が凍るような思いをさせられただろう。
だけどなんど進藤に、こうして手とともに心を温められただろう。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル