平安幻想異聞録-異聞- 番外 20 - 21
(20)
ヒカルの体が反り返った。男はグイグイとかまわず、ヒカルの中に割り入ってくる。
男の太いモノに貫かれる苦しさに、ヒカルが首をふった。
「あ……あ……いや…」
内蔵を押し上げられる感覚にヒカルが嗚咽をもらす。
「いた……あ……」
男のモノに徐々に体の奥まで割り裂かれ、中の中まで犯されていくのがわかった。
ヒカルは薄く目をあけた。
苦しむ自分をギラギラと獣の目をした男達が見つめているのが目に入った。
「うん……あ……」
男のモノがついにヒカルの最奥に到達した。その根元までがいっぱいに
ヒカルの秘門をひろげて、そこにささっていた。
男が様子を見るように少し腰をゆすった。
「やぁ………」
ヒカルの中をみっしりと占領する男の肉槍は、
意識せずとも、ただ行き来するそれだけで、ヒカルの内壁を擦り上げ、
その一番弱い部分を強く刺激するのだ。
息のつまる圧迫感にヒカルは身をよじる。
これから何をされるかなんて、もうわかっていたけど、怖かった。
ただ、男のモノを飲み込んでいるだけでさえ、こんなに苦しいのに、
これ以上の段階へ男がすすんだら、自分はどうなってしまうんだろうと思った。
だから、無駄とわかっていても、言わずにはいられなかった。
守るべき矜恃など、もはやなかった。
「…や…めて……」
男の腰が動き始めた。
ただ、ヒカルを啼かせるために。
(21)
男が腰を押しだすようにして、ヒカルの腰を突き、苛み、
またその陽物の茎の半分近くをずるりと引きだしたかと思うと、
力に任せてふたたび狭い秘門にそれを押し込む。
「う゛っ…う゛っ…」と、男がイノシシのような唸り声をあげて、
自分の下腹にそそりたつ槍を、ヒカルの中に出し入れしていた。
その動きが、思いの他ゆっくりなのは、男の陽物が大きく太いため、
少年の挟門には押し込むだけでも大変だからだ。
挟容量を超えた異物を受け入れまいと抵抗する後門の肉を、
男は力ずくで押し開き、中をこねまわし、奥を蹂躙して、また出ていく。
男が抜き差しするのに合わせて、ヒカルの体は下半身ごと大きく揺れ、
そのたびに手足を縛りつけられた竹までが、ギシリギシリと、たわんで音を立てた。
息をあらげた夜盗風の男達に囲われて、ひときわ体格の際立った男の
その肉槍に貫かれ、戒めらた足を閉じることもままならない少年検非違使は、
ただ啼き、嗚咽を漏らすことしかできないでいた。
「―んん…、やめて………、やめて…ぇ……」
男の槍は、大きく、鋭いだけでなく、焼けた火箸のように熱く固かった。
思考にモヤがかかったようになっていて、馬鹿のひとつ覚えのように、
ただ泣きながら、「やめて」と繰り返す事しか出来なかった。
深く貫かれるつど、自分の口から漏れる、あえぎとすすり泣き。
それをヒカルはどこか遠くのことのように聞いていた。
自分はここで、このまま死んでしまうのかもしれない。
いっそ、そのほうが楽に違いない。
でも母は、こんな場所でこんなさまの自分の遺骸が発見されたら
どんな顔をするだろう?
こんな武人らしくない死に方をする自分を、祖父は恥と
思うだろうか?悲しんでくれるだろうか?
――もう、どうでもいい。はやく全てが終わってしまえばいい。
ヒカルの脳裏を、ふと、白い狩衣をまとった、綺麗な人の面影がよこぎった。
「や!あぁぁっ!やめっ……いや……やめて……っっ、あぁあ!」
男の動きが激しくなった。
手首足首を括った紐状に裂かれた布が、無理な律動にキリキリと
締め上げられ、ヒカルの関節に食い込んだ。
ヒカルの体が揺れるのにあわせて、ヒカルが縛りつけられた竹の根元も
ギシギシと音をたてる。
意識が白泥し、ヒカルの頭を一瞬だけよぎった、花のような笑みの人も、
そのどこかに飲み込まれてしまった。
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