sai包囲網・中一の夏編 20 - 22
(20)
「痛い、痛い!塔矢、痛い!」
まるで折檻をされる子供みたいに髪を振り乱す、進藤。かなりの狭さ、
きつさに、こちらまで冷や汗が出て来る。もっとも、痛みに奥歯を噛み
締めながらも、ここで止めるつもりはないけれど。
「進藤」
「ふぇ、えっ・・・」
ぼろぼろと拭うこともできない涙が、ソファーにシミを作る。
これじゃ、先に進めないか。
「つっ・・・」
「うわぁ!?」
一度、抜こうと腰を引けば、熱い粘膜が絡みついて来る。思わず押し
進みそうになるのを堪えて、進藤の身体を放した。
「はぁ、あっ・・・」
やっと解放されたと安心でもしたのか、浅く早い息を吐きながら進藤
はぐったりと身体を投げ出した。後ろ手に縛られたまま、腰だけを高く
上げた、淫靡とも言える痴態も気にならないみたいだ。
「進藤」
「あっ、何?」
キリキリキリ。テープを切るために持って来たカッターの立てる音に、
顔を上げた進藤の視線が注がれる。歯をそちらに向けた途端、びくりと
小さな身体が竦んだ。
「な、何、するんだ?」
「別に。テープを切るだけだよ」
「あっ、そっか・・・」
気が抜けたみたいに、がくんと進藤の薄い肩が落ちる。
「動いちゃダメだよ」
(21)
こくんと微かに頷くのを確認して、進藤の手や指を傷つけないように
巻き付いたセロテープを切って剥がす。パリパリっという音に、進藤が
痛ってと小さく悲鳴を上げる。暴れた拍子にテープが食い込んで、手首
に赤い紐状の痣が残っていた。
ボクが、進藤に、つけた印だ・・・。
思わずくすりと笑いが漏れて、進藤はぎょっとしたように振り返った。
痛む手首をさすりながら、こちらを見上げている。
「塔矢?」
「じゃあ、続きをしようか?」
「つ、続きって!?止めてくれたんじゃないのかよ」
キッと、こちらを睨みつけて来る大きな瞳に、ぞくぞくする。
「やめるなんて一言も言ってないけど?」
「そんな・・・」
「あのままじゃやり難いから切っただけだよ。キミもボクも初めてなん
だしね。それとも、saiと打たせてくれる気になった?」
「それは・・・」
「それは?」
こくんと、まだ何の膨らみもないなだらかな喉が動く。
「それは、できない」
分かった。それが、キミの答えなら、何の遠慮もいらないだろう。
細い手首を捕まえて、もう一度背もたれへと押しつける。何とか押し
返そうと進藤は暴れたけれど、射精の倦怠感と下肢に残る痛みのせいで
その動きは鈍かった。
大きく開いた白い脚、その間に身体を入れ、赤みの残る場所に猛った
ままの自身を捻り込んだ。
「やっ、いやぁぁぁ!!」
(22)
二度目の挿入は最初よりもきつく感じられた。バタバタと暴れる進藤
の爪の先がボクの頬を傷つける。思わず手を振り上げかけたのを理性で
押し止めた。子供らしくふっくらと丸みのあるキミの顔を、ボクは思い
の外気に入ってるんだよ。殴って醜く腫れ上がらせるなんて、もったい
ないじゃないか。
その代わりに、更に奥まで突き刺すように腰を押し進める。ボクの耳
にも淫猥に響く音に続き、進藤が悲鳴を上げた。商談に使うため防音を
施してある部屋でなかったら、人が飛んで来そうな悲痛な叫び声だった。
「いやぁ、あぁ、とぉや!!」
「くっ・・・」
絞られるように締めつけて来る、進藤の中は熱く気持ちが良かった。
しばらく動くをのを止めて、はぁはぁと溺れた人間のように苦しそうな
息を吐き出す進藤の髪を撫でてやる。クーラーが効いた部屋の中でも、
こめかみや頬に汗が流れ、柔らかい髪が色を濃くしてそこに張りついて
いた。滲んだ涙を舌先で吸い取る。進藤の意識がそちらに向いた隙に、
ゆっくりと腰を動かした。
「はぁぁん、やぁ!」
痛みだけではないのか、進藤の声音に甘いものが混じってる。
「やめ・・・」
「どうして?」
こんなに感じてるのにと、わざと進藤が顕著な反応を返す場所を狙っ
て突き上げる。途端に、細い脚がボクの身体を挟み込むように締めつけ
て来た。
「ほら、ボクを放したくないって言ってるよ」
「違う、違う・・・」
|