平安幻想異聞録-異聞- 207 - 208


(207)
鬼はカエルのように大きな口をして、土気色の肌をしていた。
唇の端から黄色い牙が覗いていた。
鬼に手を押さえつけられながら、それを振りほどこうとするヒカルを、
のしかかる魔性の男が、うっすらと流麗な笑を浮かべて眺めていた。
まるで、この暴れる獲物をどう料理しようか楽しんでいるようだった
ヒカルは今の今まで自分がこ魔物に心を奪われていたことに気付き、
あらためて悪寒に身を震わせた。
さっきも、昨日の女もそうだった。この魔物は人の体だけでなく、心も操るのだ。
そうやって、ヒカル自身が知らぬうちにヒカルを自分の腕の中に招き入れ、
精気を貪りつくすのだ。
男がついに獲物の料理の仕方を決めたらしい。
あざやかに笑って強くヒカルを抱きしめた。
胸の中に直接手を入れられるような奇妙な感覚、ヒカルはうろたえて、
抗うように男の体を肩で押しのけようとしたが、すでにその時、
人の心をもあやつる魔物は、ひとつの心象をヒカルの頭の中に送り
込んでいた。
(――佐為!)
突然、佐為に抱きしめられているような錯覚が起こった。そんなはずないと、
こんな所に居るわけがないと分かっているのに、その腕の温もりは確かに
佐為のもの。浅く菊の香の混じった薄い汗の匂いは確かに佐為のものとしか
思えないほどに生々しい。


(208)
頭の隅の何処かが、これは魔物の手だと警告するのに、
自分を抱きしめるのが佐為なのだと思った途端、体の温度が上がった。
肌に噛みつかれるような乱暴な愛撫にも体が悦んでざわめいた。
抵抗しようとしていた体から力が抜けた。
佐為の唇が頬から首、鎖骨、胸やヘソの上を、赤い印を残すように
吸い立てながら移動していく感覚を、貪欲に受け止める。
唇が、ヒカルの下腹部にたどりつき、屹立しはじめた陰茎を舌で愛撫し
はじめた。やがて美しい人の口が、自分の幼い男根を含み、しっぽりと
飲み込み、舌でしごきたてる感覚に、ヒカルはあっという間に蕩かされて
果てた。
佐為が、片足に手を添えて、さらに足を開くように即す。
ヒカルは、自らその片足を、佐為の肩の上に持ち上げて乗せた。
佐為に求められれば、ヒカルは何でもしてやりたくなってしまう。
甘やかしてやりたくなってしまうのだ。
優しくて、誰より傷付きやすい佐為。
どんな恥ずかしい格好も、どんなにあられもない嬌声をあげることも平気だと
思えてしまう。
――佐為、おまえにオレの心も体も全部やるよ。
――だから、おまえずっとオレの側にいろよ。
再び、その幼い男根への舌戯がはじまった。
腕を押さえつけられ、鬼に上体の自由を奪われたまま、
反り返ったヒカルの喉が倒錯的にヒクヒクと震えた。
蕩けるような声が、灯明のひとつも灯されていない暗い部屋に響いた。
「…そこはっ…ヤ…」
陰茎を愛撫していた佐為の唇が、小振りな陰嚢に降り、さらに秘口の
入り口に触れたのだ。
だが、ヒカルは羞恥に頬を染めながら、足を閉じようとはしなかった。



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