指話 21
(21)
薄い色の瞳が射るような光を帯びて目前にあった。
押さえきれない衝動を隠さない荒々しい目だった。
―…今のオレは、君に何をするかわからん…。
感情を押し殺したような低い声と瞳に射すくめられたように体が動かなかった。
恐かった。だが、逃げたくなかった。
何があっても、彼とこの部屋に一緒に居てあげたかった。そう決めたのだ。
見つめあったまま無言で過ぎた時間が、彼の言葉への合意とみなされた。
再び唇を塞がれ歯をこじ開けられるようにして彼の舌が侵入して来た。
全く抵抗しないボクにさらに苛立つように彼のキスは激しさを強めた。
服の上から彼の左手がボクの体の上を弄る気配があった。肩から背中、
そして腰へと。それとはぼ同時に制服のボタンが外されていった。
そのうちの一つは弾け飛んで部屋の隅に転がって行った。
室内に熱帯魚の水槽からのモーター音と、彼の荒い呼吸音だけが漂う。
床には剥ぎ取られた制服の上着が落ちていた。
ボタンが全て外されたシャツとファスナーを下ろされたズボンという姿で
壁際に座り込んだ彼の胸にもたれかかるように、ボクは玩具のように彼の腕の中に
抱えられ、彼の手が体中を弄る行為に身を任せていた。
彼はしたいようにボクの唇を貪り、舌を吸い、あらゆる部分に指を這わせた。
ボクの体の形が一つ一つ確かめられようとしていた。
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