平安幻想異聞録-異聞- 番外 21
(21)
男が腰を押しだすようにして、ヒカルの腰を突き、苛み、
またその陽物の茎の半分近くをずるりと引きだしたかと思うと、
力に任せてふたたび狭い秘門にそれを押し込む。
「う゛っ…う゛っ…」と、男がイノシシのような唸り声をあげて、
自分の下腹にそそりたつ槍を、ヒカルの中に出し入れしていた。
その動きが、思いの他ゆっくりなのは、男の陽物が大きく太いため、
少年の挟門には押し込むだけでも大変だからだ。
挟容量を超えた異物を受け入れまいと抵抗する後門の肉を、
男は力ずくで押し開き、中をこねまわし、奥を蹂躙して、また出ていく。
男が抜き差しするのに合わせて、ヒカルの体は下半身ごと大きく揺れ、
そのたびに手足を縛りつけられた竹までが、ギシリギシリと、たわんで音を立てた。
息をあらげた夜盗風の男達に囲われて、ひときわ体格の際立った男の
その肉槍に貫かれ、戒めらた足を閉じることもままならない少年検非違使は、
ただ啼き、嗚咽を漏らすことしかできないでいた。
「―んん…、やめて………、やめて…ぇ……」
男の槍は、大きく、鋭いだけでなく、焼けた火箸のように熱く固かった。
思考にモヤがかかったようになっていて、馬鹿のひとつ覚えのように、
ただ泣きながら、「やめて」と繰り返す事しか出来なかった。
深く貫かれるつど、自分の口から漏れる、あえぎとすすり泣き。
それをヒカルはどこか遠くのことのように聞いていた。
自分はここで、このまま死んでしまうのかもしれない。
いっそ、そのほうが楽に違いない。
でも母は、こんな場所でこんなさまの自分の遺骸が発見されたら
どんな顔をするだろう?
こんな武人らしくない死に方をする自分を、祖父は恥と
思うだろうか?悲しんでくれるだろうか?
――もう、どうでもいい。はやく全てが終わってしまえばいい。
ヒカルの脳裏を、ふと、白い狩衣をまとった、綺麗な人の面影がよこぎった。
「や!あぁぁっ!やめっ……いや……やめて……っっ、あぁあ!」
男の動きが激しくなった。
手首足首を括った紐状に裂かれた布が、無理な律動にキリキリと
締め上げられ、ヒカルの関節に食い込んだ。
ヒカルの体が揺れるのにあわせて、ヒカルが縛りつけられた竹の根元も
ギシギシと音をたてる。
意識が白泥し、ヒカルの頭を一瞬だけよぎった、花のような笑みの人も、
そのどこかに飲み込まれてしまった。
|