Linkage 21 - 22
(21)
しばらくは余裕からか空いた手で熱く屹立したアキラのペニスに刺激を加えて
いた緒方だったが、アキラの肉壁が自身のペニスを以前にも増して強く擦り、
締め付けてくるのを感じると、降参するかのようにアキラの腰を両手でしっかり
固定する。
アキラが腰を落とすタイミングを見計らって、緒方は一息に腰を突き上げ、
アキラの最奥に再び精液を噴き上げた。
「あッ……はァ…ァンッ!!」
アキラは髪を振り乱して背を弓形に仰け反らせながら、部屋中に響き渡る
ような嬌声を上げ、緒方の上に果てた。
一瞬の沈黙の後、部屋は緒方の上に倒れ込んだアキラの絶え間ない呼吸音に支配
される。
うっすらと汗の浮いた胸に幾度となく吹きかかるアキラの熱い吐息に
くすぐったさを覚えながら、緒方は汗で頬や額に貼り付くアキラの髪を掻き上げ、
優しく手櫛で整えてやった。
そして覆い被さるアキラの上体を軽く抱きしめると、静かに虚空を見上げた。
(随分大きくなったものだな、アキラ君も……)
アキラが幼少の頃から側でその成長ぶりを具に見続けてきたからこそ、肉体的な
関係を結んでいる今でも、そう思わずにはいられない瞬間がある。
(昔とは大分状況こそ違うが……今でもこういう重さは嫌いじゃないな……)
いつからこういう関係が始まったのか……そんなことに思いを巡らせようとして
いる自分に気付き、緒方はアキラに気取られない程度に軽く頭を振った。
心地よい疲労感に包まれながらも、微かな不安が緒方を捕らえて離さない。
自分とアキラを繋ぐものは何なのか……。
恐らくそれは愛情でもなく、かといって憎しみでもない。
だが、女を抱くときのようなドライな性欲とも明らかに異なるもの……。
「答を求めることが全てではないか……」
低くそう呟くと、虚空を見上げていた視線を胸の上でまだ僅かに荒い呼吸を
しているアキラへと移す。
アキラは緒方の視線に気付いたのか、少し顔を上げた。
「これだけ疲れているのに眠れないんだな、アキラ君は……」
アキラの艶やかな黒髪を撫でながら、緒方は戸惑った表情のアキラを見つめて
言った。
(22)
アキラの寝付きが悪いのは今に始まったことではない。
塔矢夫妻の留守中に幼いアキラの子守をするため塔矢家に泊まり込むことが
少なからずあった緒方は、アキラがそう簡単に寝付かないことは重々承知している。
だが、最近のアキラの寝付きの悪さは、その頃とは明らかに異質のものであった。
「……いつもの、いいですか?」
消え入るような小さな声で尋ねるアキラの髪を緒方は指先に絡め取った。
「依存性の高い薬じゃないが、毎晩服用というのは感心しないな。まあ、毎晩
これだけ激しい運動をしても寝付けないなら仕方ないか……」
緒方はそう言って覆い被さるアキラの身体を抱き上げ横に寝かせると、
ベッドから起き上がった。
アキラが爪を立てた背中に手を伸ばして傷跡を確認すると、アキラの方を振り返り
肩をすくめて笑う。
「これじゃ毎晩格闘技だな、ハハハ。寝る前にシャワーを浴びるか?」
アキラが申し訳なさそうに首を振るのを見届けると、緒方は床に放ってあった
バスローブを拾い上げて肩に羽織りながら部屋を後にした。
アキラは小さく溜息をつくと、ベッドの端に追いやられた羽布団を引き寄せて
くるまり、背を丸め、膝を抱えながら緒方が戻るのを待った。
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