闇の傀儡師 21 - 22


(21)
それを促すように男の指が敏感なヒカルの先端に触れて揉みほぐす動きを加えてくる。
「う…あ、はあっ…」
ビクッと体が震え、内圧で異物がゆっくりと外へ押し出されていく。
だが抜けかけると男がその先端を押さえ、再びゆっくりと深くへ突き入れて来るのだ。
「あああ、あーっ…」
それを何度も繰り替えされるうちにヒカルの内部が高まり、限界に近付いていった。
「ハアッ…!、や、ああっーっ!!」
それは今まで味わった事のない感覚だった。冷たく無機質な物体に体内を占領された状態で
外性器を愛撫される事で、普段普通のオナニーすらあまり関心を持った事のなかったヒカルを、
体の中身がごっそり抜き取られるような深い絶頂感が襲った。

男はその後も縄をほどいては様々な形にヒカルを縛り、異物でヒカルを責めさいなんだ。
何度目か達してヒカルの意識が薄れた時、男が自分のイチモツを取り出すのが
ぼんやりとしたヒカルの目に映った。
もちろん体の大きさからしてそれはとてもヒカルの中に収められるものではなかったが、
男は自らそれを扱き始め、やがて声を上げて体を震わせた。
「まさか」、とヒカルは思ったが、どこかに縄で縛りつけられた身では
その場所から動く事は出来なかった。
温かく生臭い大量の体液がヒカルの顔から全身に浴びせかけられた。
あまりのショックにヒカルはもはや悲鳴すらあげる事が出来なかった。
そのときそのまま意識が薄れてようやく現実の世界に戻って来たのだった。


(22)
体液こそなかったが、あの何ともいえない臭いが強く鼻の中に残り吐き気がした。
全身がねばねばするような汗に濡れていた。

「一度目が覚めて…シャワーを浴びて傷になってたところを手当てしようとしていたんだけど、
途中からまたすぐ記憶がなくなって、気がついたら塔矢が目の前に居たんだ…。」
「傷は…大丈夫なのか?」
アキラの問いかけにヒカルは唇を噛み締めて俯く。とてもアキラに説明出来ない場所が、
赤く晴れ上がっていて本当はこうして床に腰を下ろして座っているのも辛いのだ。
「…悪い、塔矢、横になっていいかな…。」
アキラは心配そうに頷き、ヒカルが立ち上がるのに手を貸して、ヒカルがベッドに横たわるのを手伝う。
「塔矢、…オレ、臭くない?」
「何言っているんだよ、進藤。少し石鹸の匂いがするけどね。」
アキラの笑顔にヒカルは一瞬ホッと息をつくが、すぐにまた不安そうな顔になってアキラの手を握った。
「塔矢、…オレ、怖い。またこうして眠りに落ちたら、またあの場所で酷い事をされるんだ…!
こんなの、誰も信じてくれないかもしれないけど、でも、本当なんだ…!!」
そう言ってヒカルの目尻から一筋涙がこぼれ落ちた。
「ずっと一人で悪夢と戦って来たんだね。…可哀想に。」
アキラはヒカルの頬をもう一方の手で優しく摩り、額に自分の額をあてる。
ヒカルは久々に自分を傷つけない者に触れられ、安心したように目を閉じる。
「いいかい、進藤。落ち着いて聞いて。恐らく君は何か強い暗示にかかっているんだ。」
「暗示…?」



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