交際 21 - 22


(21)
 アキラがフーッと深い溜息を吐いた。ヒカルの傍らに屈んで、何とかヒカルを宥めようとする。
「進藤…」
ヒカルは返事をしない。完全にむくれている。仲間外れにされたとでも思っているのだろうか?
 社は黙って自分の布団を抱えようとした。途端に、ヒカルが跳ね起きて、社を睨み付ける。
睨まれても全然怖くない。むしろ可愛いと思ってしまう。この場合は、そう思ってしまう方が
まずいのだろうが…。
「わかった…ここで寝るわ…」
仕方なく言った一言に、ヒカルが傷ついたような顔をした。それと対照的に、アキラは噴火寸前だ。
「別にオマエがイヤやから隣の部屋行こ思たんちゃうで…オレ、寝相がメチャクチャ
悪いねん。」
コレは、ウソだ。
「なぁんだ…オレも寝相はよくねえよ。」
ヒカルが安心したようにほんわりとした笑顔をみせた。
―――――――可愛い…………。本当に隣に寝て大丈夫だろうか?社は自分がドンドン
追い込まれているような気がした。


(22)
 「……社…ちょっと…」
低い声でアキラに呼ばれた。顔から表情が消えている。部屋から出ていく彼に黙ってついて行った。
「や…!」
アキラが口を開く前に、手で彼を制した。
「わかっとる。進藤に手ェは出さへん。無理強いするのは好かんし、アイツに泣かれるんはイヤや。」
そう言いながら、ヒカルが受け入れてくれた場合は、また話は別だと心の中で呟いた。
「……進藤を泣かしたら、ただじゃおかないぞ…」
背筋が凍るような一瞥をくれて、アキラは自室へと引き上げた。社も肩をすくめて、
自分が泊まる部屋と戻った。

 「塔矢、何だって?」
社が障子を開けると、ヒカルが布団の中から声をかけてきた。
「ん〜ちょっと…しょーもないことや。」
ヒカルは、その答えに納得していないのか「ふーん」と少し不満げに呟いたが、それ以上
何も言わなかった。
 部屋の灯りを消して、布団に横になった。ヒカルが社の方に向き直って、たわいのない
おしゃべりを始めた。薄暗がりの中でも、ヒカルの唇が動くのがハッキリと見える。
柔らかくて、甘い唇……。その動きを追っているうちに、ヒカルへの相づちもなおざりに
なってしまう。
 無言になってしまった社に、
「寝ちゃったのか?」
と、ヒカルが顔を覗き込んできた。
「お…起きとおよ…」
間近に迫ったヒカルの鼻先から、慌てて身体を引いた。
「ゴメン…疲れてるんだな。もう、寝ようぜ。」
ヒカルは、社の布団をかけ直してくれた。そうして、自分も寝直すと、何かを思いだしたように
「あっ」と小さく呟いた。 
「社…昨日みたいにふざけたことやったら、絶交だからな!」
社にきつく釘を刺して、ヒカルは目を閉じた。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル