ウィロー 21 - 22
(21)
「・・・・・・腹へった・・・」
気怠げに手足を投げ出したまま、ヒカルタンが呟いた。
「外に食べに行こうか?」
オレも実際腹ぺこだった。
何せ、あの後まだ二回もヤッテしまったのだ。
本当は、このままヒカルタンを抱きしめて眠りたいけれど、
お腹を空かしているスイートハートをこのまま放っておくわけにはいかない。
「ん〜それまで持たネエ・・・」
ヒカルタンは、緩慢に身体を起こし、裸のまま座卓の方へ膝で這っていった。
剥き出しのお尻を無防備にこちらに向けている。
その扇情的な光景に、一旦鎮まったはずのオレの腐れバナナが、また反応し始めた。
だが、ココで後ろから襲いかかれば、待っているのは鉄拳だけだろう。
・・・・・・ハアハアそれもいいかもしれない・・・
オレはヒカルタンを見ないように、明後日の方を向いてその悩ましい姿を視界から遠ざけた。
暫くすると、がさがさという音が聞こえてきた。
それに釣られて、音のした方を見ると、ヒカルタンがういろうの包みを剥くところだった。
今度は、薄いピンクのういろう・・・桜だ。
「わーい、うまそう・・・」
・・・・・・ヒカルタンのピンクの乳首の方が百万倍美味しいよ。
(22)
ヒカルタンは、例の歌を歌いながら、ういろうを軽快に切っていく。
一つ、二つ、三つ、四つ・・・キレイに一本切り分けた。
そのうち一つをぽいっと口に放り込んだ。
「・・・ん・・・うま・・・」
うれしそうに口いっぱいに頬張るヒカルタン。
ハアハア可愛いよ。
ヒカルタンは、ういろうをもう一つ指先で摘んでオレの方に寄ってきた。
「オマエ、間違ってるよ。ヤッパ、ういろうは口から食べた方がウマイに決まってる。」
そう言って、オレの目の前に指先をかざした。
「ホラ」
オレが口を開けると、ヒカルタンは自分にしたのと同じようにぽいっと放り込む。
もぐもぐもぐ・・・
「うま・・・」
オレの言葉を聞いて、ヒカルタンは「な?」と、零れそうな笑顔をオレに向けた。
「オレももう一つ・・・」
ヒカルタンは、ピンクのういろうを両手に一つずつ持っている。
一つは自分の口へもう一つはオレの口へ・・・
「んん・・・ウマイ・・・」
ヒカルタンの満面の笑顔。
オレはその笑顔に見とれてしまった。
「・・・・・・・・・でも、一番美味しいのはやっぱりヒカルタンだと思う・・・」
オレの小さな呟きは、ヒカルタンには聞こえなかったらしい。
ニコニコ笑顔でういろうを食べるヒカルタン。
ヒカルタンの笑顔がオレにとっての一番のごちそうだよ。
おわり
|