平安幻想異聞録-異聞- 211 - 212
(211)
「ふぐっっ…うんっ、ん、んぐっ……っ!」
薄く目を開けて見れば、それはさっきまでヒカルの上半身を押しひさいでいた
鬼の陰物だった。鬼がいつのまにか自分の役割を放棄し、裸の下腹部に
張りだした大きなそれをヒカルの口に押し込んだのだ。
鬼が乱暴に抜き差しし始めた。快楽のために思考が朦朧としているヒカルは
それを吐き出すことが出来ず、上の穴と下の穴を同時に責められることに
なってしまった。
ヒカルは、人間の体がおよそ耐えうる快楽の限界の淵にいた。
えんえんと続く悦楽の責め苦には終わりがないように思われた。
土気色の鬼が意地になったように、自らの下肢を捏ね回し、ヒカルの口で
自分の陰物を激しくしごく。
「…んっ、ふぐっん…んんっ…んっ…」
上からも下からも同時に嬲られて、ヒカルが苦しげに眉をよせて涙をこぼす。
「んっ、んっ…、うんんっ…んっっ」
何の予兆もなく鬼の陰物がはじけた。生臭い液体が、ヒカルの口いっぱいに
広がった。
陰物が征服された唇からズルリと引き抜かれる。ヒカルが口に受け止めきれ
なかった白い陰液が、たらたらと口の端からこぼれた。
鬼は終わったが、ヒカルの中に居座る淫の性の男はまだ終わっていない。
「はっ、あぁっん…はっっ……ああっ、はああっ」
鬼の陰液を唇からこぼれさせたまま、ヒカルは大きく喘ぎ、背筋を反らす。
魔性の男は手の中の獲物にとどめを刺そうというのか、奔馬のいきおいに
抽挿を早めた。
痩せて肉の薄くなった尻の肉の外からもその様子がわかるほどに。
腹の深部で魔物のそれが、大きく膨れ上がった。
(212)
それに中をめいっぱい押し広げられたヒカルの、叫ぶようなよがり声が
夜の空気を打った。
そのまま、五回六回と抜き差しされ、内壁を圧され、強く何度もこすられる快感に、
ヒカルは体を痙攣させながら、なまめかしい淫声に喉を震わせた。
…果てる瞬間、ヒカルは闇に向かって手を伸ばしてた。
無意識の中で、ひとつの言葉が、ヒカルの口から漏れていた。
それは、この座間邸に来る事を一人で決めたあの日に、これだけは絶対に
言わないと自分に禁じていた言葉だった。
「……佐為、助けて……」
そしてその日、ついに佐為とアキラは、あの凄惨な陵辱の舞台へとたどり着いた。
そこで二人を出迎えたのは一本の太刀だった。
|