無題 第2部 22
(22)
―そうだよな。芦原さんだって、いつもボクの相手をしてくれるって訳じゃないんだ。
なんだか芦原にまで見捨てられてしまったような気がして、ますます憂鬱になってきた。
夕暮れ時の街は、帰り道を急ぐ人や、これから遊びに行こうという人でごった返していた。
アキラと同じ年くらいの少年二人が楽しそうに喋りながら、アキラの目の前を通り過ぎた。
―これだけ沢山人がいるのに、どうしてボクは一人なんだろう。
今までは、そんな事、気にした事もなかったのに。一人が寂しいとか、友達が欲しいとか、
思った事もなかったのに。
通り過ぎる人並みをぼんやりと見ながら、アキラは黄昏時の街に立ちつくしていた。
雨が、降り始めていた。
|