Shangri-La 22


(22)
神様はなんて意地悪なんだろう。
アキラは夕食を調達するため、夜の街を飛ぶような速さで歩きながら
恨み言をつぶやく。
突然進藤が消えてしまって淋しくて、進藤と一緒の時間を返して欲しい、
と願ったことは紛れもない事実で、その願いは聞き入れて貰えたようだけれど。
ボクが返して欲しかったのは、こんな傷ついてささくれた抜け殻じゃない。
今日、コンビニで呼び止めたときの進藤は、人形の綺麗さだった。
――食べることも眠ることも忘れた、魂の抜けかけた、動く人形。
生身の人間が、こんな短期間であんなに変わってしまうなんて…

「別に、前にもこーゆーのあったけど、放っておきゃ直るんだって!
いい加減に放っておいてくれよ!」
その響きは、傷を追った動物が敵を威嚇するそれでしかなかった。
進藤は、その変化を「体質が変わった」の一言で片付けようとしていたけど
そのあまりに痛々しい姿に胸が潰されそうだった。


いいだろう。そっちがそう来るなら、
ボクはボク自身の力で望みを叶えればいいんだ。
とりあえず今晩、一晩もらった事だし。

アキラは考えを巡らせながらコンビニの店内へと足を向けた。



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