Shangri-La第2章 22
(22)
背後でするかたかたいう音は、多分サイドテーブルの引き出しを使っている音だろう。
前と変わらないなら、二番目の引き出しの手前の方にローションが入っていて
引き出しを少しだけ引いて、手だけで探り当てて引き出すのが常だった。
「ひぁ、っ…」
そんな事を考えているうち、期待していると同時に不安でもある感触が
現実になって、思わずアキラはその冷たさに身を竦めた。
が、次の瞬間には身体を弛緩させようと努めて意識して、
何度か深く呼吸をした。
ぬるり、と指が一本差し入れられ、中を伺ってくる。
「んっ…、ん………あ…」
ゆっくりともたらされる中への愛撫が、嬉しくて、もどかしい。
喘ぎ声が嫌いな緒方に媚びるため、声になるのを抑えようと喉を開きながらも
意識は全て中で蠢く指使いに持っていかれてしまいそうだ。
不意にぐるりと指を回され、その感覚に身体がびくりと跳ねたが、
大きく吐息が漏れただけで、辛うじて声は出なくて
緒方の機嫌を損ねずに済んだ事に安堵した。
間もなく指を足され、アキラの中を探りながら、解し広げ始めた。
(もう少しだ。本当に、あと少しだ……)
アキラはもう一度後ろを緩めようと、ほうっと息を吐いた。
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