失着点・龍界編 22


(22)
一方、アキラはヒカルの事を気にしつつ自宅で詰碁集のページを繰っていた。頭に入らず、本を閉じる。
その時携帯が鳴って、開いてみると、ヒカルの名とアドレスでメールが
入っていた。
『この人のお知り合いですか?この人の携帯を預けておきます。場所は―、』
それは新宿区内の住所のあるビルの名前と、囲碁サロン「龍山」という
名があった。
「…進藤、携帯をなくしたって言ってたな…。拾った人が戻そうとして
くれているのかな…」
アキラは怪訝そうにそのメールを見る。


翌日の午後、緒方はヒカルに教えられたビルに入って行った。そこには
囲碁サロン「龍山」があり、その名は囲碁の仲間内でも耳にした事があった。
それに関する話は確かあまり耳障りの良いものではなかったはずだ。
ロビーの造りからして普通の囲碁サロンとは異質な雰囲気を持っている。
カウンター内には酒の瓶が列び、照明を落とした怪し気な場所だ。
ヒカルの言う同い年の三谷というお友達が気楽に入れる所とは到底思えな
かったがビル内に他は事務所や閉まった店しかなかった。
カウンターの若い男はそうでも無かったが年輩の客の一人が目ざとく
緒方を見て声を上げた。
「緒方十段だ…!」
雰囲気はどうでも、そういうところは普通の囲碁サロンの客と何ら
変わりは無い。



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