平安幻想異聞録-異聞- 222


(222)
あの賀茂アキラの家で蛇達と睨みあった時と同じだ。やつらは自分を
金縛りにかけようとしているのだ。
恐る恐る腕を上げる。動く。
安心したヒカルは自分の手にある調伏刀の刃の根元に、赤い顔料で何か
文字か文様のようなものが書かれているのに気付いた。半年前、京の妖し退治
の折りにはなかったものだ。そして、すぐにヒカルは理解した。
おそらくこの事態を見越して、賀茂アキラがあらかじめ金縛り封じの印を
書いておいてくれたのだ。
(助かったぜ、賀茂!)
そのまま庭へ走り出ようとしたヒカルの目の前を人影が塞いだ。
廊下に逃げ遅れた女童と、その母親であろうヒカルが顔を知らない
侍女が一人。目の当たりにした異形の蛇の姿に身がすくんでしまって
いるのだ。その異形に破壊された天井が崩れ、柱が一本、軋む音を立てながら
その二人の上に倒れ掛かろうとしてた。
ヒカルは咄嗟に、腰に太刀の鞘を結びつけていた紐をほどき、その鞘を倒れて
くる柱のつっかえ棒にした。
ミシリと鞘の石突きの部分が廊下の床に僅かにめり込み、柱が倒れるのを
止めた。
「逃げて!早く!」
ヒカルの言葉に我に返った母子は門の方へと駆け出した。
続こうとしたヒカルの目の前の床板がたわんで破れ、そこから異形の
蛇が顔を出す。



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