無題 第2部 23


(23)
雨が、静かに降っていた。
外はすっかり暗くなってしまっているのに、明かりを点ける気にならなくて、ベッドサイドの
小さなライトを点けただけの薄暗い室内で、緒方はグラスを片手に、煙をくゆらせていた。
インターフォンが鳴る。
誰も来る予定はないのに、誰だろうと思って玄関へ向かう。
心の底に小さな期待と、けれどそれを否定しようとする思いが責めぎあっていた。
彼がこの部屋に来る事は、もうないのだ。
けれど、モニターに映ったのは、正しく彼が待ち望んでいた人物だった。
「…アキラ!?」
モニターに映るアキラの前髪に雨粒が光った。
「…どうしたんだ?すぐに上がって…いや、オレが降りていく。すぐに行くから。」
エレベーターを待っている時間が、ゆっくりと降りていく時間が、とてつもなく遅いような気がして
緒方は焦った。こうしている間にも彼は逃げてしまうのではないか。こうして、急いで降りていっても、
もうそこにはアキラはいないのではないか。
1階についたとたん、緒方は開きかけたドアからエントランスへ向かって駆け出し、彼の名を叫んだ。
「アキラ…!」



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