指話 24


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そして行為の続きを促すように目を閉じた。
何かのはけ口を他の誰かではなく自分に向けてくれただけでも本望だった。
―何故、オレなんだ…。
その言葉と供に彼の最後の仮面がようやく剥がれたような気がした。
ボクの中で動き続けた彼はやがて咽の奥から押し出すように唸る声を上げた。
体の奥深い場所で彼の熱が弾ける感触がした。
ボクの体に彼の両腕が巻き付き強く抱き締めて来た。骨が軋む程に。
彼の胸と、彼自身が激しく脈打つのがはっきりと伝わって来た。
そのまま暫く動かなかった。
そうして次に重ねられて来た唇は、別人のように温かさと柔らかさを洩っていた。
やっと全身からはり出させていた刺を収めてボクを受け入れてくれた気がした。
今までに見せた事のない慈しむような目をボクに向けてくれた。
―辛かっただろう…。
ゆっくりと額と頬に温かいキスをされて、初めてボクは涙を流した。
―うっ…
彼の指と唇が謝罪するように優しく体の上を動く。その間中ボクはしゃくりあげ
涙が止まらなかった。そのボクの口をあの人は唇で何度も塞ぎ、泣き声を
吸い取って行った。
一度ボクの体から抜け出て、傷口を癒そうとするように彼の舌がその部分で動いた。
狼藉を詫びるようにボク自身を手の中に包み込んで慰撫してきた。



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