平安幻想異聞録-異聞- 24


(24)
振り払おうと体をよじると今度は手首を誰かにつかまれ、
まさかと思ってみれば、そこには菅原の顔。
自由になるほうの手で、捕まれた手首にからみつく菅原の手の指を
一本一本引きはがそうとするうちに、座間がその手を足首からふくらはぎへ、
ふくらはぎから太ももへと這い登らせてくる。
せめてその座間の顔を叩ききってやろうと太刀を探すが、
腰にあるはずの太刀がない。
ヒカルは必死で太刀を探す。
あれは父上から譲り受けた大切な品なのに。どこへやってしまったんだろう?
ヒカルの太ももをなで回しながら座間は笑う。
「佐為殿ももったいないことをする。このような美味い肴を据膳にして喰らわぬとは」
「佐為がそんなことするもんか!佐為と俺はそんなんじゃない!!」
「何を言う。佐為殿にもかわいがられておるのだろう?ここも…ここも…」
言いながら、座間の手は太ももをさらにはい上がり、せまい股の付け根へと……


「やめろ!」
自分の声に驚いてヒカルは目を覚ました。
佐為が心配そうに、こちらをのぞき込んでいる。
手は強くヒカルの手を握ってくれていた。
「大丈夫ですか?」
そういって、形の整った綺麗な指が、ヒカルの目じりをやさしく拭った。
「オレ、泣いてた?」
佐為はそっと微笑んだ。



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