金魚(仮)(痴漢電車 別バージョン) 24
(24)
アキラは学校に上がると同時に部屋をもらった。お兄さんになったみたいでうれしかったが、
さすがに夜は少し寂しかった。今までは両親に挟まれて、眠っていたのに……。
さほど広くはない部屋だったが、六歳のアキラが一人で寝るには静かすぎた。
『怖いんじゃないんだよ。ただ、ちょっとだけさびしいだけなんだ。』
と、口の中でモゴモゴと独り言を言った。
犬や猫は無理でもハムスターや小鳥のような小さいものだったら、どうだろう?アキラは
店の奥の方へと入っていった。
鳥かごが壁に据え付けられ、その前にはウサギのケージが置いてある。その隅の方から
ピイピイといくつもの高い鳴き声が重なって聞こえてくる。アキラは、誘われるように
賑やかな声のする方へ向かった。
ガラスの水槽の中で、まだ小さいひな鳥たちが一生懸命口を開けて、エサをねだっている。
「かわいいね。」
アキラがエサを与えている店員のお兄さんに話しかけた。
「ヒナのうちから人間になれさせておくと、手乗りになるんだよ。」
「本当?」
手乗りの小鳥。すごくすてきかもしれない。
「まだ自分で食べられないから、一日に何度もあげないといけないけどね。大変だけど
すごく可愛いよ。」
「一日に何度も?」
「そうだよ。お腹が空くと死んじゃうからね。」
アキラはガッカリした。朝と夕方はいいとして、学校に行っている間はどうなるんだろう。
夜アキラが眠ってしまったら?九時には布団にはいるように言われている。そこから、
朝までヒナが鳴いても目が覚めなかったら?アキラはブルッと小さく身震いした。
――――――小鳥もダメだ。
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