社妄想(仮) 24
(24)
産毛に触れるようなささやかな愛撫に震えながらも、アキラの肩に手を置いて自重を任せてくる。
背中を支える手は服の中に滑り込み、ヒカルの粟立つ肌を往き交う。
その間もヒカルの中に潜り込んだ指は、ヒカルの弱い部分を圧したり、軽く引っ掻いていた。
啜り泣くように洩れる声が吐息と共に耳にあたって、知らずアキラの身体も煽られる。
弱い部分をアキラの指が掠めて、ヒカルは短い嬌声を上げた。
身体を仰け反らせ、露になった白い首筋を甘噛すると、ヒカルは堪らずにアキラの肩に爪を立てた。
眦に溜まっていた涙が、感極まって一筋の流線を描く。
小さい呼吸を繰り返して、肩の辺りに顔を埋めるヒカルの耳許で、
アキラは出来得る限りの優しい声で囁いた。
「ヒカル」
滅多に呼ばない下の名前でアキラが呼ぶと、ヒカルはアキラを見つめて一瞬きょとんとした。
そしてやがて喜びが浸透していったのかのように。
ゆっくり花開くように、ふんわりとした幸せそうな笑顔を浮かべた。
そのまま眸を閉じたヒカルの薄く開かれた唇に、アキラは自分の唇を重ね合わせた。
そっと何度か啄んで、唇を舐めあげる。
瞬間驚いたようにさらに少しだけ開いた口腔に舌を滑り込ませて、上の齦の裏を舌先で刺激する。
渇いていた舌先は、ヒカルの中から分泌される甘い蜜を絡め取り、自分の中に戻ると、
同じように自分の分泌する液体をたっぷりと絡め、ヒカルの中にそれを送った。
唾液と唾液が絡まって、頭の芯から溶けるような感覚がした。
ぴったりと密着した身体からはせわしなく鳴る鼓動が伝わってくる。
それともこれは相手のではなく自分の鼓動だろうか。
熱に浮かされた頭でアキラは考えた。
そして、ヒカルの全身がくったりと弛緩する瞬間を狙って、ずっと動きを止めていた指を動かし、
一気に外まで抜いた。
「ん、んぅっ……!」
驚いたヒカルは紅い舌を持て余すように口から小さく覗かせたまま、身体を退いた。
二人の間を引いた銀色の糸が、ぷつんと切れて双方の口元をしどけなく彩る。
取り出したガラスのそれは、一部分が欠けていた。
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