平安幻想異聞録-異聞- 244


(244)
そして彼の心を映したように、美しく清冽で、どこか寂しげな式神たち。
彼もこんなふうに、心に抱える闇を持っているのだろうか?
(あいつともっと話してみたいな。)
ヒカルは、山奥の湖水のように静かな、あの陰陽師の瞳を思い出した。
「何を考えているのですか? ヒカル」
我に返る。
「なんでもない…」
そうして二人は、今お互いがここにある幸福を噛みしめるための行為に、
再び没頭する。
ヒカルの手も自分を抱く人のしなやかな肌の上をさまよい、お互いの体を
まさぐり、睦みあう。
佐為が、ヒカルの手を持ち上げ、右手の小指を口に含んだ。
「きゃんっ……」
ヒカルの口から、子犬のような悲鳴がもれた。
そこは佐為だけが知っている、ヒカルが一番感じる場所だ。
小指の爪を甘く噛み、そのやわらかい指の腹を思う存分に濡らすと、次は
薬指、中指とその輪郭をたどって舌をゆっくりと這わせる。
「…ぁぁ……」
ヒカルが耐えきれないと言うふうに、首を振った。
その唇は、やがて手から手首へ移り、皮膚の下に透けて見える血管を
なぞるように舌で愛撫すると、腕を徐々にのぼって行き、肩から首筋へと
辿りついて、ゆるやかにヒカルの耳の後ろのあたりを刺激し始めた。
くすぐったさに、ヒカルは肩をすくめ小さく笑いながらも、甘い溜め息をつく。
佐為の唇は、そのままヒカルの首筋の肩近くの所と耳の後ろをゆっくりと何度も
往復しながら、時に軽く歯ではさみ、時に舌でそっと嘗め上げ、ヒカルの体から
完全に力が抜けてしまうまで愛撫し続けた。



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