トーヤアキラの一日 25


(25)
この日初めて視線を合わせた二人だが、それだけで気持ちが通じることは無かった。
「進藤?」
「どういうつもりだよ!ふざけんなよ!」
ヒカルは、溜めていたものを勢い良く押し出すように言った。
「えっ?」
「いきなりオレの事好きだとか言っておいて、一ヶ月も放ったらかしてさ!!その挙句に
忘れてくれって何だよ!オレの気持ちを弄ぶのもいいかげんにしろよ!!」
「そ、そんな・・・違う、違うよ。誤解だよ」
「何が違うんだよ!今、忘れてくれって言ったじゃないか!」
「それは違う!ボクの気持ちは変わらない!キミが好きだ、進藤!本当だ!」
「じゃあ、何で一ヶ月も放っておいたんだよ!」
「・・・・キミが考えてみる、って言ったから・・・・・考え終わったら連絡してくれると思って・・」
「・・・・・・何だよそれ。普通告白した方が連絡するだろ・・・・・」
「えっ?そうなの?・・・・・ごめん、知らなくて・・・」
「いつものお前なら、こっちが迷惑でも平気で押しかけて来るだろ!」
「・・・ごめん・・・てっきりキミに嫌われたと思って・・・」
「オレがこの一ヶ月、どんな気持ちで過ごしてたのかお前にわかるのかよ!」
アキラの頭は混乱して、高鳴っていた心臓は停止状態になっていた。
ただ、ヒカルが自分の気持ちをぶつけて来てくれた事で、逆に強張っていた気持ちが
救われて、自分の想いを伝えることも出来るような気がして来た。
「聞かせて欲しい。キミの気持ちを聞かせて欲しい」
一歩前に出てヒカルの顔を見つめる。

ヒカルは握り拳をゆっくりと解き、肩の力を抜きながら溜息をついた。
「お前の気持ちが変わらないって言うのは本当かよ」
「本当だよ!本当だ。キミへの気持ちは変わらない。いや、前よりももっとキミの事が
好きになっている。・・・・・だから進藤、キミの気持ちを聞かせてくれるか?」



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