無題 第2部 25


(25)
かちゃり、と小さな音を立てて洗面所の扉が開き、緒方の手渡した部屋着に着替えたアキラが
出てきた。緒方の服は、彼の身体には大きすぎて、余計に彼を頼りなげに見せた。
緒方がそちらの方を見ると、アキラはどこへ行くでもなく、その場に立ちつくしていた。
立ち尽くしたまま、ぼんやりと水槽の魚を眺めるアキラに、緒方はコーヒーカップを手渡した。

水槽のポンプが小さな音を立てている。
それとは別に、静かな、少し気怠るげな音楽が流れているのに、アキラは気付いた。
いつもより砂糖を大目に入れたコーヒーにアキラは口をつけた。熱い液体が、喉から胃に流れ
込む。その温かさを確認するように、アキラはコーヒーカップを両手で包んだ。
そんなアキラを痛ましい目で見詰めながら、緒方はデスクの前の椅子に身を沈めた。



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