社妄想(仮) 25


(25)
アキラはそれに気付くと、血の付いている部分を指で軽く拭い、もう一度石をためつすがめつする。
少なくとも石の状態からして昨日や今日欠けた訳ではない事が解り、ひとまずほっとする。
欠けたその部分は既に磨耗していたので、それほど酷い傷を付けずに済んだだろう。
ふと気付くとヒカルはアキラにしがみついたまま、小さく震えていた。
「進藤?」
「……塔矢」
ヒカルはそのまま熱い吐息と共にアキラの耳許に囁いた。
極々短いセンテンスの言葉を。
だが、その言葉がアキラの頭脳に浸透するには、姑くの時間を要した。
「お願いだ……このままじゃ、対局に…集中出来ない……」
続けてのヒカルの言葉に、漸く先程の言葉は聞き間違いではないのだと納得する。
しかしそれならそれで、別の疑問が浮上してくる。
ヒカルを見ると潤んだ目で見つめ返してきた。
その扇情的な瞳に一瞬たじろぐ。
自分の知っている進藤ヒカルは、こんな目をする少年だったろうか。
ヒカルはのろのろとアキラから離れると、かろうじて身につけているという風情だった服を
脱ぎはじめる。
こんな 、いつ、誰が来るかも知れない場所でヒカルは一糸纏わぬ姿となった。
快晴の空とその姿が相俟って、酷く倒錯的な図に見える。
それでも恥じらいは残っているのか、両腕は身体を隠すように添えられている。
そして、アキラの顔を正面から捕らえる事も出来ずに、頬を染めたまま視線を
地面に彷徨わせていた。
理由はどうあれ、ここまで情熱的な誘いを受けてアキラも断る理由などない。
場所が場所だけに気になる事もあったが、アキラは着衣を緩めるとヒカルの肩を引き寄せた。



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