交際 25 - 26
(25)
戸惑うヒカルに社は更に言い募った。
「オレと試してみいひんか?もしかしたら、オレの方が相性エエかもしれへんで?」
「…試す?…相性って…?」
意味がわからない。星占いの話だろうか?
「……Hに決まっとるやんか。」
ポカンとしているヒカルに、社は笑って言う。…え?なんて言った?すぐには理解できなかった。
「…………………〜〜〜〜〜バカヤロ――――――――――!」
ヒカルは真っ赤になって怒鳴った。なんてことを突然言い出すんだ!社はひるむ様子もなく
続ける。
「そやけど…オマエ…塔矢しか知らんのやろ?」
「…べつにいいじゃんか!他のヤツとなんかしねえよ!絶対しねえ!!」
激しく首を振り、プイッと横を向いた。
「そおか?ま…エエわ…進藤はそーゆーおぼこいとこが可愛いねんもんな…」
笑い混じりの気になる一言。
「え…なに…?おぼ…?どーゆー意味?」
「オマエみたいに、初で世間なれしてないことや。」
カチンときた。
「それって、オレがガキっぽいってこと?」
自然と声が尖ってくる。社は気付かないのか
「ちょっと、ニュアンス違うけど…そんな感じやな…」
と、笑いながら言う。
ムカムカする。どうして、アキラにしろ社にしろヒカルを子供扱いするのだろうか。
自分たちばかり大人ぶって、ヒカルは何もわかっていないって顔をする。
「いいぜ…やっても…」
勝手に口から飛び出ていた。しまったと思ったがもう遅い。
(26)
「ホンマか?」
社がヒカルの肩を掴んで、正面から見据える。ヒカルはゴクリと喉を鳴らした。
「……う、うん…」
社の目は真剣だった。どうしよう。早まったかもしれない。SEXする=大人の証では
ないことくらいわかっていたのに……。
社の逞しい肩や、自分よりもずっと太い腕に目がいってしまう。夜道を二人で歩いたときの
記憶が甦った。社の強い腕に肩を掴まれて、そこから逃れようと胸を押したが、ビクとも
しなかった。
「あとで、泣いても知らんで?止めるんやったら、いまのうちや…」
今ならまだ引き返せる。「ゴメン」と、一言謝れば、社は許してくれるだろう。
だけど、ヒカルは突っ張ってしまった。
「いいって言ってるじゃんか!」
震えそうになるのを何とか堪え、ヒカルは精一杯強がってみせた。
社が肩を掴んだ。痛い。指が食い込んでいる。
「イヤやゆうても、もう、アカンで…」
社の精悍な顔立ちが、ほんの数センチ先まで、近づいてきた。ヒカルの喉がゴクリと鳴った。
「…社…あの……」
何か言いたいことがあったわけではない。でも、何か言わなければそのまま食いつかれて
しまいそうだった。その先の言葉が続かない。
「社……」
もう一度名前を呼ぶ。
その瞬間、社がヒカルを思いっきり自分の方へ引き寄せた。
―――――喰われる!
ヒカルはきつく目を瞑った。ゆっくりと唇を塞がれた。
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