痴漢電車 お持ち帰り編 25 - 28
(25)
声にならない悲鳴を上げて、ヒカルがアキラの肩に倒れかかってきた。アキラの顔の真横に
ヒカルの白い喉があった。
喉を指先でくすぐりながら、もう片方の手で胸を嬲る。肩に軽く歯を立てて、ヒカルの反応を
伺った。
ヒクヒクと小刻みに震えるヒカルの仰け反らせた喉が、何ともいえず美味しそうに見えた。
舌でペロリと舐めると、「アァ、イヤぁ!」と小さく叫んだ。
「や………!」
身体をくねらせながら、アキラの執拗な愛撫から何とか腕の中から逃れようとするヒカルの
小さな身体を押さえ、腰をぐいぐいと押しつけた。
ヒカルは「キュウン」と子犬のような声を漏らし、ブルブルと震え始めた。
「ダメ!ダメだよ!」
アキラは慌てて、ヒカルの前をキュッと押さえた。
「ァ……」
ヒカルが絶望を露わにして、アキラを切なげに見つめた。
「まだ…ダメだよ…」
一緒にいこうね…………耳たぶを軽く噛んだ。
「う……ぅ…と…やの…いじわる…」
ヒカルはすすり泣き始めた。
(26)
意地悪……………なんて心地よい響きだ。ヒカルが言うと本当に可愛くて可愛くて、もっと
意地悪をしたくなってしまう。
シクシクと泣くヒカルの身体をギュッと強く抱きしめ、腰を下から突き上げた。
「ひぃん!」
ヒカルの足がジタバタと宙を蹴る。その足を太腿の下からすくい上げるように持ち上げる。
そうすると、身体が自然とアキラに預けられ、ますます深く繋がった。
「イヤ…いやぁ…」
泣き声が部屋中に響き渡る。アキラがヒカルの身体を少し持ち上げて落とすと、その声は
より大きくなった。
彼が身体を震わせて泣くたびに、自分を心地よく締め付ける。
やっぱり、ボクって意地悪なんだな―――――――ヒカルが泣いているのを見て、可愛いと
思うなんて…もっと虐めたいと思うなんて…ゾクゾクとした快感が全身を駆けめぐる。
「も…やだ…やだぁ…!」
激しく首を振りながら、ヒカルが泣き叫ぶ。それが合図になった。アキラは大きくヒカルを
持ち上げ急に落とした。同時に下から突き上げる。
「ァアアァ―」
ヒカルが高い悲鳴を上げた。それともに勢いよく白い液体が飛び散った。
(27)
その後も、アキラはぐったりとしたヒカルを抱いた。
「もうやめて…ゆるして…」
懇願されても、それはアキラの欲望を煽るだけで、何の助けにもならなかった。ヒカルには
それがわからないのかずぅっと「ゆるして…」と泣き続けた。
目が覚めるともう昼近かった。腕の中のヒカルはまだ眠っている。ぐったりとして、顔色が
悪いので心配になったが、寝息は安らかでホッとした。寒いのかアキラの胸に顔をすり寄せて、
少しでも温もりを求めようとする。
本当になんて可愛いんだろう。コレでヒカルは自分の恋人だ。アキラは飽きずに、ヒカルを
見つめた。
やがてヒカルが夢の世界から現実へと戻ってきた。瞼を開けるとすぐにアキラと視線が
ぶつかった。ヒカルは状況が理解できていないのか、ポカンと口を開けている。
「おはよう…」
アキラが額にキスをして微笑むと、ヒカルは顔を真っ赤にして、背中を向けてしまった。
「お腹空いただろ?食事にしようか?」
ヒカルは背中を向けたままコクンと小さく頷いた。
二人で遅すぎる朝食を食べる。
『何か、新婚みたいだな…』
にやけながら、コーヒーを口に運んで、ヒカルの方をそれとなく見遣った。
ヒカルはきつね色に焼けたトーストを囓っていた。俯いたまま一言もしゃべらず、ひたすら
パンを囓り続ける。彼はアキラの方を決して見ようとしなかった。
怒っているのかと思ったが、そうではないらしい。俯き加減の表情は確認しにくいが、耳が
真っ赤に染まっていた。照れているのだ。
突然、ヒカルへの愛しさがあふれ出し、自分でもどうしようも無くなった。
(28)
トーストを持つヒカルの手を掴み、自分の方へと引き倒した。ヒカルは、驚いて声も出ない。
キョトンとしているヒカルの上にのし掛かり、シャツの下に手を這わせた。
「!!や、やだ!!やめてよ!」
ヒカルがアキラを押しのけようと腕を突っぱねた。その手を捕まえ、両手をバンザイのように
磔にする。
昨日、あんなにしたのに、まだ足りない。もっともっとヒカルが欲しい。アキラはわめく
ヒカルの唇をキスで塞いだ。暴れていたヒカルの身体から力が抜けた。
シャツを脱がそうと押さえていた手を離す。と、その瞬間、ヒカルは思い切りアキラを突き飛ばした。
「バカ!ヘンタイ!スケベ!ピーマン!」
泣きながら、アキラを罵倒する。
……………バカ…ヘンタイ…スケベ…ここまではわかる。だが、最後の“ピーマン”は
いったいどういう意味だろうか………ヒカルに訊ねたい気がしたが、下手に刺激すると
余計にまずいことになりそうなのでとりあえず黙っていた。
「オマエなんか…オマエなんかキライだ………バカヤロォ…」
ヒカルが泣きじゃくりながらアキラを詰った。
「もう…オレ…帰る…!」
アキラが止める間もなかった。仕方がないので、さっさと出て行こうとするヒカルの後ろを
オロオロと付いていく。
ヒカルは玄関で靴を履いて、もう一度アキラを睨んだ。そして
「バカ!ヘンタイ!スケベ!カボチャ!オマエなんかキライだ―――――――――!」
と、叫んで走り去ってしまった。走り方がぎこちないのは昨晩の影響だろう。
ヒカルは今度こそ本当に帰ってしまった。
「バカ…ヘンタイ…スケベ…最後カボチャになっていたな………」
アキラは走り去る華奢な後ろ姿が見えなくなっても、まだ、玄関に佇んでいた。
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