白と黒の宴2 26
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「…っ、め…ろっ…!」
ドンッと、ヒカルは思わずアキラの体を力任せに突き飛ばした。
アキラは背中から廊下の壁にぶつかり、「うっ」と小さく呻くとそのままずるずると床に座り込んだ。
「…塔矢っ!?」
慌ててヒカルがアキラに寄り添って腕を抱えて立ち上がらせる。
「ご、ごめん、塔矢…!オレ、そんなに強く押したつもりは…」
そしてヒカルはきょろきょろ周囲を見回し、とりあえず廊下に誰もいないのを見てホッと息をついた。
「ったく、何考えているんだよ!こんな場所で…!、もしも誰かが見ていたら…」
ヒカルは耳まで真っ赤にして、半分声を潜めるようにしてアキラに抗議した。
「…見られたって構わない。」
「えっ…?」
「…ごめん、…どうかしている、ボクは…。」
そう言って立ち上がったアキラにヒカルが何かを言いかけ、腕に手を触れて来たが
それをアキラは振払って廊下を歩き出した。
「…塔矢…」
ヒカルが後をついて行こうとしたが、アキラの背中に強く拒絶されて踏み止まった。
「…何だよ、塔矢の奴…!?」
ヒカルはただ戸惑ったまま呆然とその場に立ち尽くすしかなかった。
このままヒカルと一緒に居たら、自分を抑え切れなくなる。そうアキラは思っていた。
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